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1.3k 水木 しげる


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レビュー記事

杉山外務省審議官が国連の委員会で「慰安婦」強制連行はねつ造と主張するも、性奴隷でない説明はできず。

2016-02-20 05:34 Everyone says I love you !

 

 安倍政権は政府代表の杉山晋輔外務審議官を2016年2月16日にジュネーブで開かれた国連の女子差別撤廃委員会に出席させ、「慰安婦」問題について、軍や官憲による強制連行を裏付ける資料がないとか、韓国の済州島で強制連行があったとする吉田清治氏の証言を

「捏造」「完全に想像の産物」

と述べさせ、証言を繰り返し報道した朝日新聞が

「誤りを認め謝罪した」

ことを説明させました。

 とにかく、杉山審議官の話の中にはこれでもかというくらい「朝日新聞が」「朝日新聞が」という話が出てきます。

追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

 

 

 外務省によると、政府が国連で吉田証言や朝日新聞の謝罪を説明するのは初めてで、産経新聞や保守論壇は画期的なことだとほめたたえています。

 しかし、慰安婦を「強制連行された軍用性奴隷」と断定した国連人権委員会のクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告書は、吉田証言を根拠の一つにしたにすぎず、吉田証言一つが覆ったところで、各報告書の全体の価値が損なわれるわけではありません。

 さらに、前述のように、杉山審議官は朝日新聞が誤った報道をしたから国際的な誤解を招いたと再三言うのですが、朝日新聞にそんな国際的な影響力なんてありませんよ(苦笑)。

 また、1991年当時は朝日新聞だけでなく、どの新聞も「慰安婦」が強制連行されたと報道していましたし、当の産経新聞など1993年になってもまだ「慰安婦」は強制連行されたという記事を書いていました。

 なんでも朝日新聞におっかぶせようとする杉山氏は、産経新聞の特派員のようです。

参考

2015.8.30 06:00産経新聞 【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(2)】 「『強制連行』僕は使っていない」

産経新聞、内閣法制局長官が「臨時国会召集しなくても違憲でない」と答弁している、と「誤報」。

 

杉山審議官はこの委員会で
「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」
と述べたのですが、資料が見つからないということと、強制連行がなかったということとは全く違います。 また、資料がなかったということと、吉田証言が虚偽だったという2点を強調して、強制連行がなかったと結論付けるのは論理的ではなく、目くらましにすぎません。 そもそも、たとえば誘拐事件で、被害者が誘拐されたと言っているのに、加害者が誘拐したということを文書に記録して残していないからと言って、誘拐の事実はなかったと事実認定したら、裁判官としては失格です。加害者側が記録を残さず、もしくは記録を証拠隠滅するのは当然のことです。
杉山審議官の弁明に対して、女性差別撤廃委員会の委員が
「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」
と痛烈に批判したのは当然です。
安倍政権は「慰安婦」に関して、国連の委員会という場に、歴史的事実を自分に都合のいいように捏造する歴史修正主義の立場に立つことを自白しに行ったようなもので、国際社会に対する恥さらしです。

そして、杉山審議官は、「慰安婦」が性奴隷だったという事実はないと二回言っているのですが、二度ともなぜそう言えるのか、「慰安婦」の実態がなぜ性奴隷ではないのか、まったく理由を述べていません。言えなかったのです。
それはそうでしょう。
「慰安婦」には、兵士に対する性奉仕を拒絶する自由はなく、一日何十人もセックスを強要され、もちろん慰安所から去る自由などなかったのですから。というか、朝鮮半島から遠く離れた中国大陸や南方戦線に連れ去られているのですから、家に帰れるわけがありません。 この強制性を性奴隷と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。
まさか、国連の委員会で、日本の極右が言うように、「慰安婦」は高給取りで、セックスを拒絶するのも家に帰るのも自由だった、などとは外務省としてもさすがに恥ずかしくて言えなかったのでしょう。
そして、これは杉山審議官も認めざるを得なかったように、、この「慰安婦」制度と慰安所には軍が関与しており、
「慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たった」
のです。つまり、「慰安婦」にセックスを強制し、性奴隷とした責任は日本軍にあるのです。

そうであるにもかかわらず、外務省の審議官が女性の権利を扱う国連の女性差別撤廃委員会にのこのこと出かけて行って、「慰安婦」制度に対して誤解があります、それは朝日新聞のせいなんです、などと政府の代表として言うことが、日本に対する評価をどれだけ下げるものか、安倍政権にはわからないのでしょうか。
だから、これまでの保守党政権でも、そういう馬鹿なことまではしなかったのです。
こんなことをしてしまう安倍政権にも、これをもてはやす日本の保守メディアにも、本当にうんざりです。
  カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著)より      

少年事件を起こした子どもたちには、悪いことをしたのに反省せず、それをごまかすのはさらに恥ずかしいことだと、よく言って聞かせるんですけどねえ。

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2016.2.17 10:00 【慰安婦問題】 「批判は事実に反する」国連委で 遅まきながら政府が反転攻勢 河野談話の重荷なお  ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=16日(共同)

 「受け入れられない」

 女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題に関する杉山晋輔外務審議官の発言後、中国出身の女性委員が声を上げた。「誰も70年前の出来事を否定したり、変えたりすることはできない」

 これに対し、杉山氏は 「日本政府が例えば歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も取っていないというご批判は事実に反すると言わざるを得ない」と穏やかな口調ながらも強く反論した。

 しかし、別の委員からも、日本は1993(平成5)年に慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を出しているのにもかかわらず、なぜ今になって否定するのかといった疑問の声が上がった。

 慰安婦問題については、政府の責任を追及する日本人活動家が1990年代から国連で歪曲(わいきょく)した事実関係を流布し、定着させてきた。そうした中で河野談話は、慰安婦を「性奴隷」とする認識を定着させた96年のクマラスワミ報告書につながった。当時の日本政府も同報告書の反論文を準備したが、政治的な配慮から国連に提出せず、事実関係を国際社会に説明する絶好の機会を自ら逃している。

 今回の女子差別撤廃委員会で、日本政府が国連を舞台とした“歴史戦”で反転攻勢に出たことは、遅きに失した感があるものの評価できる。政府は河野談話を堅持しながら事実関係を説明するという“重荷”を背負いながら、あらゆる機会を利用して事実関係の説明を続けていかなければならない。(ジュネーブ 田北真樹子)


国連女性差別撤廃委員会における杉山審議官の主な発言

2016年2月19日05時03分 朝日新聞

 国連の女性差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題をめぐる杉山晋輔外務審議官の発言は以下の通り。

 ◇

 冒頭発言の中で触れた部分

 長年にわたり日韓両国間の懸案事項であった慰安婦問題に関しては、昨年12月28日に日韓外相会談が行われ、この問題は両国の間で「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。現在、両国それぞれが合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであります。

 日本政府としては20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、リードしていく考えであります。

 本件については一言付け加えさせていただきます。そもそも女子差別撤廃条約は日本が同条約を締結した1985年ですが、締結以前に生じた問題に対してさかのぼって適用はされないということでありますから、慰安婦問題を当条約の実施状況の報告において取り上げることは、適切ではないというのが日本政府の基本的な考え方だ、ということを一言付け加えさせていただきます。

 委員との質疑応答での発言①

 これまで申し上げたことに加えて、次のとおり主要な点、重要ですので口頭で申し上げます。

 まず書面でも回答したとおり、日本政府は日韓間で慰安婦問題が政治・外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行いました。しかしながら日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行というものを確認するもの、確認できるものはありませんでした。

 慰安婦が強制連行されたという見方がひろく流布された原因は、1983年、故人になりました吉田清治氏が「私の戦争犯罪」という本、刊行物の中で、吉田清治氏自らが「日本軍の命令で韓国のチェジュ島において大勢の女性狩りをした」という虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表したためであります。この書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により、事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えました。しかしながら、この書物の内容は後に複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されています。

 それが証拠にこの朝日新聞自身も、2014年8月5日および6日をふくめ、その後9月にも累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りをみとめ、正式にこの点につき読者に謝罪をしています。また、「20万人」という数字も具体的な裏付けのない数字であります。朝日新聞は2014年8月5日付の記事で、女子挺身(ていしん)隊とは戦時下の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で女性を労働力として動員するために組織された女子勤労挺身隊を指す、目的は労働力の利用であり、将兵の性の相手をさせられた慰安婦とは別だ、としたうえで、「20万人」との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めているのであります。

 なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。

 日韓両政府間では、慰安婦問題の早期妥結に向けて真剣に協議をおこなってきたところでありますが、先ほど申し上げたように、昨年12月28日にソウルにて日韓外相会談が開催され、日韓外相間で本件につき妥結にいたり、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。同日午後、日韓首脳電話会談が行われ、両首脳はこの合意にいたったことを確認し、評価した次第であります。冒頭申し上げましたように、このときの日韓合意を表す資料は書面の回答に添付されておりますので、ここでその内容の詳細をくりかえしてご説明することはしません。日本政府はこれまでもアジア女性基金などを通じて本問題に真剣に取り組んでまいりました。今後もしたがって韓国政府が元慰安婦の方の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算10億円程度でありますが、資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととなっております。

 現在、日韓両国政府はそれぞれ、合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであり、この点は現時点でもまったく変わりはありません。このような日韓両国政府の努力につき、国際社会のご理解をいただけると大変ありがたく思います。ちなみに、潘基文国連事務総長を含め、国際社会は日韓両国が合意に達したことに歓迎の意を表明していると承知をしています。

 もう一点だけ、最後に付け加えます。いまご質問いただいたホフマイスター判事は、他の国の例もお挙げになりました。先の大戦に関わる賠償ならび財産及び請求権の問題について、ご指摘になられた点も含め、日本政府は米仏等45カ国との間で締結したサンフランシスコ平和条約、それだけではなくて、その他の二国間の条約など、これは日韓請求権経済協力協定も含めますし、日中の処理の仕方も含みます。こういったものによって、ここでそれいちいち法律的に説明することはしませんが、誠実に対応してきており、これらとの条約などの当事者との間では、個人の請求権の問題を含めて、法的に解決済みだ、というのが日本政府の一貫した立場です。

 最後に一言。にもかかわらず、日本政府はアジア女性基金を構築し、我が国の予算からの拠出と一般からの募金によって一定の活動をしたということも、説明をすると、きちんと説明するためには長くなりますので、ここでアジアの女性基金についての詳細は説明しませんが、おそらくここにおられる各委員の皆様はその内容をよくご存じと思いますので、その点だけ付言をして私の答えにさせていただきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言②

 あのゾウ委員からご指摘された点についていくつかお答えをします。

 まず第一に、さきほど内容については、あの、「すでにお配りしてあるので詳しく説明しません」と申し上げましたが、昨年の12月28日に岸田大臣と尹長官の間で、「最終的かつ不可逆的」に解決されていることは文書の回答の添付の文書を見ていただければ、明確だと思います。従って、日本政府がこの問題について、例えば、歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も執っていないというご批判は事実に反するといわざるをえません。

 ちなみに、さきほど、いわゆる強制ということは、我々が調査した中では、裏付けられなかった、と申し上げましたが、この岸田大臣の合意のなかには、慰安婦問題は当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している、えー、ちょっと飛ばしますが、これらすべての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する、そして額は10億円程度ということですが、日本の予算の措置により、財団を設立する。あの、それからさらにいろんな説明しなきゃいけないんですが、中身について時間がないのでそれ以上はいいません。

 ここでいう、当時の軍の関与というのは、慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たったということであるということは、従来から認めていることであって、私がさっき申し上げたことは、そのこととともに、たとえば「20万人」という数字は完全に間違いだと、本人っていうか、出した新聞社が認めているとか、そういうことを明確にするために申し上げたわけだし。それから「性奴隷」という表現も事実に反するということをもう一度ここで繰り返しておきたい。

 ちなみに、書面で回答に添付したこの両外相の共同発表の文書の中にも「性奴隷」という言葉は1カ所も見つからないのも事実であります。従って、今、ゾウ委員からご指摘を受けましたが、非常に残念なことに、ゾウ委員のご指摘は、いずれの点においても、日本政府として受け入れられるものでないだけではなくて、事実に反することを発言されたという風に、申し上げざるを、残念ながら、申し上げざるを得ないということを明確に発言をしておきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言③

 ほんの数十秒。さきほど一つ大事なことを言うのを忘れたのでいいます。

 あの、すでに先ほど申し上げたとおり、委員のお手元に届けてある日韓の合意、これは日韓間の合意であって、これを現在、日韓両国政府はそれぞれ誠実に実行に移すべく、取り組んでいるところであり、この点は全く変わっていません。このような日韓間の合意についてぜひ理解をしていただきたい。こういう重要なことを忘れていたのでもう一回繰り返します。

 

 

国連委で慰安婦報道言及、外務省に申し入れ 朝日新聞社

2016年2月19日05時02分 朝日新聞

 スイス・ジュネーブで16日に開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査で、外務省の杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題について発言した際に朝日新聞の過去の報道などに触れ、「国際社会に大きな影響を与えた」などと述べた。朝日新聞東京本社報道局は18日、外務省に対し、「根拠を示さない発言」などとして遺憾であると文書で申し入れた。

第三者委員会報告書の全文(PDF)はこちら
杉山氏は、朝鮮で慰安婦を強制連行したと証言した故・吉田清治氏について「虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表した」と説明し、「(吉田氏の)書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」と述べた。

 さらに、慰安婦の人数について、「20万人という数字も具体的に裏付けのない数字」とし、「20万人との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると(朝日新聞が)自ら認めているのであります」などと発言した。

 慰安婦に関する報道をめぐっては、朝日新聞社は2014年8月、吉田氏の証言を虚偽と判断し、関連の記事を取り消した。

 申入書では、国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。

 また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。

 川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした。

 ◇

 朝日新聞による慰安婦報道を検証する「第三者委員会」が2014年12月22日に公表した報告書で、「国際社会に与えた影響」については三つの報告が併記された。このうち吉田清治氏の証言(吉田証言)をめぐる報道について触れた主な部分は以下の通り。

 岡本行夫委員、北岡伸一委員

 「(日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、という)イメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」

 波多野澄雄委員

 「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」

 林香里委員

 「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」

 

2016年2月18日(木) しんぶん赤旗

日本政府「慰安婦」強制連行を否定 国連委で強い批判 女性差別の撤廃を審議

 【ジュネーブ=玉田文子】国連女性差別撤廃委員会による日本報告に対する審議が16日、ジュネーブの国連欧州本部でおこなわれ、日本軍「慰安婦」問題に対する日本政府の対応が厳しく批判されました。

 政府代表団の杉山晋輔外務審議官は「慰安婦」問題について、「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明しました。さらに、「性奴隷という表現は事実に反する」とのべるとともに、昨年12月の日韓合意で「最終的かつ不可逆的に解決した」などと主張しました。

 これに対し委員は、「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」と強烈な不満を突きつけました。

 女性差別撤廃委員会は日本政府に対し1994年以来繰り返し、日本軍「慰安婦」問題の解決を勧告しています。

 ところが政府は、第7、8回報告で「本条約を締結(1985年)する以前に生じた問題に対して遡(さかのぼ)って適用されないため、慰安婦問題を本条約の実施状況の報告において取り上げることは適切でない」として、開き直ってきました。

「国際社会で 通用しない」

 審議を傍聴した日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長の話

 委員会は、日本軍「慰安婦」問題について被害者への補償、加害者処罰、教育を含む永続的な解決を繰り返し勧告してきました。重大な人権侵害であり、今も続いている紛争下での性暴力を根絶する上で、この問題の解決が欠かせないという立場なのです。日本政府の対応は、人権問題だという認識がまったく欠如していることを示すものであり、国際社会では通用するものではありません。

 

異例の自費出版で大反響の『外務省犯罪黒書』。こんな人物が外交のトップに上り詰める国でいいのか? 2016年02月02日 17時00分提供:週プレNEWS

今から14年前の2002年、当時、自民党の衆議院議院運営委員長で現在、新党大地代表の鈴木宗男氏と、同じく当時、外務省国際情報局主任分析官で現在、ベストセラー作家の佐藤優氏が“国家の罠(わな)”にはめられた。 
東京地検特捜部が動き、犯罪をでっち上げられて逮捕・起訴されたのだ。いわゆる「鈴木宗男事件」である。裁判では、鈴木氏には懲役2年・追徴金1100万円、佐藤氏には懲役2年6月・執行猶予4年が言い渡された。 
普通ならばここで鈴木氏は政界引退、佐藤氏も外務省を辞職し姿を消すところだが、ふたりは不死鳥のごとくよみがえった。 
このふたりには、「絶対に許されざる者たち」がいる。“国家の罠”の裏で暗躍した外務省極悪官僚の面々だ。本来、外交で発揮すべき交渉力、情報戦術を彼らは鈴木宗男事件に投入し、ふたりを闇に葬ろうとした。 
しかし、鈴木氏は国会議員の武器である質問主意書で、佐藤氏は作家としてペンの力で外務省の闇をあぶり出し、彼らに対抗した。『外務省犯罪黒書』は10年前に月刊誌上で彼らが繰り広げた闘いの記録を、今あらためて一冊にまとめたものだ。 
*** 
―この本で外務省の悪事をふり返ると、本当にとんでもない役所だなと実感します。 
順番に見ていくと、モロッコで泥酔運転をして、現地人をひき殺した岡本治男氏。彼は免職にならないどころか、外交特権を使って罪を逃れ、わずか停職1ヵ月の処分で、その後、駐ドミニカ共和国特命全権大使に出世してます。しかも外務省は鈴木先生の質問主意書に対する回答で「この処分に関する当時の判断は、妥当であったと考える」と言っている。 
また、別の章では外国の大使・公使になると、とんでもない金を蓄財できることが明らかにされてます。 
大使になると給料の他にいろいろと手当がつきます。例えば10年前のモスクワで3年間大使をやると、非課税・精算不要の在勤基本手当だけで約3千万円が支給されるとあります。この調子で3ヵ国ぐらいの大使をやれば、国内外に3軒の高級マンションが買える金が貯まるとか。 
他にも、自分たちが使ってきたエージェントを簡単に見捨てた話とか、在ロシア日本大使館を舞台にした「ルーブル委員会」なる裏金組織があったこと、1972年の沖縄返還の密約についてのウソを絶対に認めないことなども暴露されています。 
そして、この本のある意味、主役である杉山晋輔外務審議官。彼は93年8月から95年1月のわずか1年半の間に外務省機密費2億円を使い込んだ。しかもその使い道は、銀座の高級クラブでの豪遊のみならず、料亭では全裸で肛門にろうそくを立てて点火し、座敷を這(は)い回る高等変態プレイまで含まれているとあります。 
佐藤さんがこの本を今、自費出版という形ででも発表しようとされた理由のひとつが、悪の大本命・杉山審議官がもうすぐ外務次官に就任しそうだからということです。ちなみに今、この本はどれくらい売れているんですか? 
佐藤 自費出版だと普通売れるのは数百部くらいでしょうが、おかげさまで1万部くらい出ているようです。 
鈴木 そりゃすごいですね。 
佐藤 杉山さんが最近、「鈴木先生の一件は、自分は本当はやりたくなかった。でも、当時の竹内事務次官にものすごい調子で言われ、生き残るためには仕方なかった」と言ってるそうなんですが、この話は鈴木先生の耳にも聞こえてきてますか? 
鈴木 きてますね。組織の一員として、上の意向に従わざるを得ませんでした。私の本意ではなかったんです、とね。 
―金は使い込んだ上に、変態プレイも大好きな人物が外務省のトップに上り詰める。それも驚きですが、そんな人が本当に北方領土交渉なんかできるんでしょうか? 
佐藤 義理を欠き、人情を欠き、平気で恥をかいてでも自分の出世を目指していくのが杉山さんです。今、安倍総理はサミット前の5月に訪ロしようと考えてます。それが実現しないと自分の出世はないと考えたら、杉山さんは一生懸命になるでしょう。 
―ロシア側はそんな杉山さんの性格を知っている? 
佐藤 よくわかっています。だから杉山さんが「国際情勢、日ロの戦略的提携」とか言っても、絶対に信用しないでしょうね(笑)。 
安倍総理の訪ロが実現しないと、自分の地位が危うくなるから命懸けでやる男であること、そして安倍総理の訪ロを実現させるためなら日本にとって不利な条件であっても譲歩するからくみしやすいこと、この2点をロシア側は見極めてるでしょう。 
―すると、日ロ関係が動くかもしれない? おふたりはよく「外交は人だ」とおっしゃってますが、それが“杉山外交”にも表れるんですね? 
佐藤 そうです。類は友を呼ぶで、ロシア側にも杉山系の人間がたくさん出てきます。時代劇の悪代官のところに悪徳商人が来て「お殿様、ここのところはこれで」という感じで交渉は進みます。 
今、化石燃料が安くなっているからロシア経済は大変です。しかし、中東で有事があれば、原油価格は一気に30倍ぐらいに跳ね上がる。そういう情勢なので、安定的・多角的に油を入れられるようにしなければならない日本はロシアと安値で長期契約ができるチャンス。日本にとってこのカードは外交上すごく有効なんですが、外務省はそんなこと全く考えていないでしょうね…。 
―この本にも書かれていますが、10年前の連載時から佐藤さんは外務省改革案を出されていました。それは10年たってどれくらい実現してるんでしょうか? 
佐藤 来年から入省する新人にTOEFLを受けさせる点は進歩しました。外交官試験を廃止したので、私がいた頃に比べて、語学力が弱い人間が大量に入ってきましたから。 
―10年前の段階でも外務省の能力が落ちているとありますが、今はどうですか? 
佐藤 日本外交で過去10年、例えば、国連常任理事国入りなど成功した事例は何かありますか? 成功したのは大使館の数が増えたことだけです。 
―10年前は、大使になると都内にマンションを3軒買えるほど金が貯まるとありました。これは? 
佐藤 10年前は3軒買えたのが今は1軒になりました。鈴木先生が質問主意書で、大使手当の積算根拠を聞いたりしたので、あまりデタラメができなくなりましたから。外務官僚からすると寂しい時代になりました。 
―鈴木先生の質問主意書爆撃と、佐藤さんのメディア暴露戦略が効果を挙げたわけですね。 
ところで、以前、佐藤さんは杉山審議官が次官になると、「とりあえず日本外交は止まる。再び動くのは、杉山さんが駐米大使になろうとして画策する時だろう」とおっしゃってました。杉山さんが外務省次官になるのがほぼ確定といわれている今、日本外交は何か動くんでしょうか? 
佐藤 それはひと昔前までのトップ。今はその上に日本版の国家安全保障局(NSC)の局長職がありますからね。駐米大使はアメリカの国務長官、国防長官にいつでも会えるわけじゃない。しかし、NSC局長はいつでも会える。さらにNSC局長は常に官邸にいますから、杉山さんはNSC局長になりたがるでしょう。 
鈴木 NSC局長と駐米大使なら、NSCを狙うでしょうね。総理の信頼があれば、これは大変な力のあるポストですから。 
佐藤 でも、杉山さん、本当に次官になれますかね? 
鈴木 私はこの本が出た関係で、賢明な判断をされる人が出てくると思いますね(笑)。 
(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博) 
●佐藤 優(さとう・まさる)
1960年生まれ、東京都出身。外務省時代に鈴木宗男氏と知り合い、鈴木氏同様、国策捜査で逮捕・起訴される。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として活躍。近著は『資本主義の極意』『大世界史』(池上彰氏との共著) 
●鈴木宗男(すずき・むねお)
1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。2002年に国策捜査で逮捕・起訴、2010年に収監される。現在は2017年4月公民権停止満了後の立候補、議員復活に向け、全国行脚中! 近著に『ムネオの遺言』『外交の大問題』(佐藤氏との共著)がある 
■佐藤氏が月刊『現代』2006年6月号から2007年1月号にかけて連載していた「外務省『犯罪白書』」と、鈴木氏の『闇権力の執行人』の第4章を合わせてまとめた一冊。この数十年の外務省の黒歴史、外務省の体質が赤裸々に描かれている(講談社エディトリアル、1600円+税) 

 

 

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杉山外務省審議官が国連の委員会で「慰安婦」強制連行はねつ造と主張するも、性奴隷でない説明はできず。

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 安倍政権は政府代表の杉山晋輔外務審議官を2016年2月16日にジュネーブで開かれた国連の女子差別撤廃委員会に出席させ、「慰安婦」問題について、軍や官憲による強制連行を裏付ける資料がないとか、韓国の済州島で強制連行があったとする吉田清治氏の証言を

「捏造」「完全に想像の産物」

と述べさせ、証言を繰り返し報道した朝日新聞が

「誤りを認め謝罪した」

ことを説明させました。

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追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

 

 

 外務省によると、政府が国連で吉田証言や朝日新聞の謝罪を説明するのは初めてで、産経新聞や保守論壇は画期的なことだとほめたたえています。

 しかし、慰安婦を「強制連行された軍用性奴隷」と断定した国連人権委員会のクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告書は、吉田証言を根拠の一つにしたにすぎず、吉田証言一つが覆ったところで、各報告書の全体の価値が損なわれるわけではありません。

 さらに、前述のように、杉山審議官は朝日新聞が誤った報道をしたから国際的な誤解を招いたと再三言うのですが、朝日新聞にそんな国際的な影響力なんてありませんよ(苦笑)。

 また、1991年当時は朝日新聞だけでなく、どの新聞も「慰安婦」が強制連行されたと報道していましたし、当の産経新聞など1993年になってもまだ「慰安婦」は強制連行されたという記事を書いていました。

 なんでも朝日新聞におっかぶせようとする杉山氏は、産経新聞の特派員のようです。

参考

2015.8.30 06:00産経新聞 【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(2)】 「『強制連行』僕は使っていない」

産経新聞、内閣法制局長官が「臨時国会召集しなくても違憲でない」と答弁している、と「誤報」。

 

杉山審議官はこの委員会で
「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」
と述べたのですが、資料が見つからないということと、強制連行がなかったということとは全く違います。 また、資料がなかったということと、吉田証言が虚偽だったという2点を強調して、強制連行がなかったと結論付けるのは論理的ではなく、目くらましにすぎません。 そもそも、たとえば誘拐事件で、被害者が誘拐されたと言っているのに、加害者が誘拐したということを文書に記録して残していないからと言って、誘拐の事実はなかったと事実認定したら、裁判官としては失格です。加害者側が記録を残さず、もしくは記録を証拠隠滅するのは当然のことです。
杉山審議官の弁明に対して、女性差別撤廃委員会の委員が
「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」
と痛烈に批判したのは当然です。
安倍政権は「慰安婦」に関して、国連の委員会という場に、歴史的事実を自分に都合のいいように捏造する歴史修正主義の立場に立つことを自白しに行ったようなもので、国際社会に対する恥さらしです。

そして、杉山審議官は、「慰安婦」が性奴隷だったという事実はないと二回言っているのですが、二度ともなぜそう言えるのか、「慰安婦」の実態がなぜ性奴隷ではないのか、まったく理由を述べていません。言えなかったのです。
それはそうでしょう。
「慰安婦」には、兵士に対する性奉仕を拒絶する自由はなく、一日何十人もセックスを強要され、もちろん慰安所から去る自由などなかったのですから。というか、朝鮮半島から遠く離れた中国大陸や南方戦線に連れ去られているのですから、家に帰れるわけがありません。 この強制性を性奴隷と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。
まさか、国連の委員会で、日本の極右が言うように、「慰安婦」は高給取りで、セックスを拒絶するのも家に帰るのも自由だった、などとは外務省としてもさすがに恥ずかしくて言えなかったのでしょう。
そして、これは杉山審議官も認めざるを得なかったように、、この「慰安婦」制度と慰安所には軍が関与しており、
「慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たった」
のです。つまり、「慰安婦」にセックスを強制し、性奴隷とした責任は日本軍にあるのです。

そうであるにもかかわらず、外務省の審議官が女性の権利を扱う国連の女性差別撤廃委員会にのこのこと出かけて行って、「慰安婦」制度に対して誤解があります、それは朝日新聞のせいなんです、などと政府の代表として言うことが、日本に対する評価をどれだけ下げるものか、安倍政権にはわからないのでしょうか。
だから、これまでの保守党政権でも、そういう馬鹿なことまではしなかったのです。
こんなことをしてしまう安倍政権にも、これをもてはやす日本の保守メディアにも、本当にうんざりです。
  カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著)より      

少年事件を起こした子どもたちには、悪いことをしたのに反省せず、それをごまかすのはさらに恥ずかしいことだと、よく言って聞かせるんですけどねえ。

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2016.2.17 10:00 【慰安婦問題】 「批判は事実に反する」国連委で 遅まきながら政府が反転攻勢 河野談話の重荷なお  ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=16日(共同)

 「受け入れられない」

 女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題に関する杉山晋輔外務審議官の発言後、中国出身の女性委員が声を上げた。「誰も70年前の出来事を否定したり、変えたりすることはできない」

 これに対し、杉山氏は 「日本政府が例えば歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も取っていないというご批判は事実に反すると言わざるを得ない」と穏やかな口調ながらも強く反論した。

 しかし、別の委員からも、日本は1993(平成5)年に慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を出しているのにもかかわらず、なぜ今になって否定するのかといった疑問の声が上がった。

 慰安婦問題については、政府の責任を追及する日本人活動家が1990年代から国連で歪曲(わいきょく)した事実関係を流布し、定着させてきた。そうした中で河野談話は、慰安婦を「性奴隷」とする認識を定着させた96年のクマラスワミ報告書につながった。当時の日本政府も同報告書の反論文を準備したが、政治的な配慮から国連に提出せず、事実関係を国際社会に説明する絶好の機会を自ら逃している。

 今回の女子差別撤廃委員会で、日本政府が国連を舞台とした“歴史戦”で反転攻勢に出たことは、遅きに失した感があるものの評価できる。政府は河野談話を堅持しながら事実関係を説明するという“重荷”を背負いながら、あらゆる機会を利用して事実関係の説明を続けていかなければならない。(ジュネーブ 田北真樹子)


国連女性差別撤廃委員会における杉山審議官の主な発言

2016年2月19日05時03分 朝日新聞

 国連の女性差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題をめぐる杉山晋輔外務審議官の発言は以下の通り。

 ◇

 冒頭発言の中で触れた部分

 長年にわたり日韓両国間の懸案事項であった慰安婦問題に関しては、昨年12月28日に日韓外相会談が行われ、この問題は両国の間で「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。現在、両国それぞれが合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであります。

 日本政府としては20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、リードしていく考えであります。

 本件については一言付け加えさせていただきます。そもそも女子差別撤廃条約は日本が同条約を締結した1985年ですが、締結以前に生じた問題に対してさかのぼって適用はされないということでありますから、慰安婦問題を当条約の実施状況の報告において取り上げることは、適切ではないというのが日本政府の基本的な考え方だ、ということを一言付け加えさせていただきます。

 委員との質疑応答での発言①

 これまで申し上げたことに加えて、次のとおり主要な点、重要ですので口頭で申し上げます。

 まず書面でも回答したとおり、日本政府は日韓間で慰安婦問題が政治・外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行いました。しかしながら日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行というものを確認するもの、確認できるものはありませんでした。

 慰安婦が強制連行されたという見方がひろく流布された原因は、1983年、故人になりました吉田清治氏が「私の戦争犯罪」という本、刊行物の中で、吉田清治氏自らが「日本軍の命令で韓国のチェジュ島において大勢の女性狩りをした」という虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表したためであります。この書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により、事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えました。しかしながら、この書物の内容は後に複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されています。

 それが証拠にこの朝日新聞自身も、2014年8月5日および6日をふくめ、その後9月にも累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りをみとめ、正式にこの点につき読者に謝罪をしています。また、「20万人」という数字も具体的な裏付けのない数字であります。朝日新聞は2014年8月5日付の記事で、女子挺身(ていしん)隊とは戦時下の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で女性を労働力として動員するために組織された女子勤労挺身隊を指す、目的は労働力の利用であり、将兵の性の相手をさせられた慰安婦とは別だ、としたうえで、「20万人」との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めているのであります。

 なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。

 日韓両政府間では、慰安婦問題の早期妥結に向けて真剣に協議をおこなってきたところでありますが、先ほど申し上げたように、昨年12月28日にソウルにて日韓外相会談が開催され、日韓外相間で本件につき妥結にいたり、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。同日午後、日韓首脳電話会談が行われ、両首脳はこの合意にいたったことを確認し、評価した次第であります。冒頭申し上げましたように、このときの日韓合意を表す資料は書面の回答に添付されておりますので、ここでその内容の詳細をくりかえしてご説明することはしません。日本政府はこれまでもアジア女性基金などを通じて本問題に真剣に取り組んでまいりました。今後もしたがって韓国政府が元慰安婦の方の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算10億円程度でありますが、資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととなっております。

 現在、日韓両国政府はそれぞれ、合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであり、この点は現時点でもまったく変わりはありません。このような日韓両国政府の努力につき、国際社会のご理解をいただけると大変ありがたく思います。ちなみに、潘基文国連事務総長を含め、国際社会は日韓両国が合意に達したことに歓迎の意を表明していると承知をしています。

 もう一点だけ、最後に付け加えます。いまご質問いただいたホフマイスター判事は、他の国の例もお挙げになりました。先の大戦に関わる賠償ならび財産及び請求権の問題について、ご指摘になられた点も含め、日本政府は米仏等45カ国との間で締結したサンフランシスコ平和条約、それだけではなくて、その他の二国間の条約など、これは日韓請求権経済協力協定も含めますし、日中の処理の仕方も含みます。こういったものによって、ここでそれいちいち法律的に説明することはしませんが、誠実に対応してきており、これらとの条約などの当事者との間では、個人の請求権の問題を含めて、法的に解決済みだ、というのが日本政府の一貫した立場です。

 最後に一言。にもかかわらず、日本政府はアジア女性基金を構築し、我が国の予算からの拠出と一般からの募金によって一定の活動をしたということも、説明をすると、きちんと説明するためには長くなりますので、ここでアジアの女性基金についての詳細は説明しませんが、おそらくここにおられる各委員の皆様はその内容をよくご存じと思いますので、その点だけ付言をして私の答えにさせていただきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言②

 あのゾウ委員からご指摘された点についていくつかお答えをします。

 まず第一に、さきほど内容については、あの、「すでにお配りしてあるので詳しく説明しません」と申し上げましたが、昨年の12月28日に岸田大臣と尹長官の間で、「最終的かつ不可逆的」に解決されていることは文書の回答の添付の文書を見ていただければ、明確だと思います。従って、日本政府がこの問題について、例えば、歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も執っていないというご批判は事実に反するといわざるをえません。

 ちなみに、さきほど、いわゆる強制ということは、我々が調査した中では、裏付けられなかった、と申し上げましたが、この岸田大臣の合意のなかには、慰安婦問題は当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している、えー、ちょっと飛ばしますが、これらすべての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する、そして額は10億円程度ということですが、日本の予算の措置により、財団を設立する。あの、それからさらにいろんな説明しなきゃいけないんですが、中身について時間がないのでそれ以上はいいません。

 ここでいう、当時の軍の関与というのは、慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たったということであるということは、従来から認めていることであって、私がさっき申し上げたことは、そのこととともに、たとえば「20万人」という数字は完全に間違いだと、本人っていうか、出した新聞社が認めているとか、そういうことを明確にするために申し上げたわけだし。それから「性奴隷」という表現も事実に反するということをもう一度ここで繰り返しておきたい。

 ちなみに、書面で回答に添付したこの両外相の共同発表の文書の中にも「性奴隷」という言葉は1カ所も見つからないのも事実であります。従って、今、ゾウ委員からご指摘を受けましたが、非常に残念なことに、ゾウ委員のご指摘は、いずれの点においても、日本政府として受け入れられるものでないだけではなくて、事実に反することを発言されたという風に、申し上げざるを、残念ながら、申し上げざるを得ないということを明確に発言をしておきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言③

 ほんの数十秒。さきほど一つ大事なことを言うのを忘れたのでいいます。

 あの、すでに先ほど申し上げたとおり、委員のお手元に届けてある日韓の合意、これは日韓間の合意であって、これを現在、日韓両国政府はそれぞれ誠実に実行に移すべく、取り組んでいるところであり、この点は全く変わっていません。このような日韓間の合意についてぜひ理解をしていただきたい。こういう重要なことを忘れていたのでもう一回繰り返します。

 

 

国連委で慰安婦報道言及、外務省に申し入れ 朝日新聞社

2016年2月19日05時02分 朝日新聞

 スイス・ジュネーブで16日に開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査で、外務省の杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題について発言した際に朝日新聞の過去の報道などに触れ、「国際社会に大きな影響を与えた」などと述べた。朝日新聞東京本社報道局は18日、外務省に対し、「根拠を示さない発言」などとして遺憾であると文書で申し入れた。

第三者委員会報告書の全文(PDF)はこちら
杉山氏は、朝鮮で慰安婦を強制連行したと証言した故・吉田清治氏について「虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表した」と説明し、「(吉田氏の)書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」と述べた。

 さらに、慰安婦の人数について、「20万人という数字も具体的に裏付けのない数字」とし、「20万人との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると(朝日新聞が)自ら認めているのであります」などと発言した。

 慰安婦に関する報道をめぐっては、朝日新聞社は2014年8月、吉田氏の証言を虚偽と判断し、関連の記事を取り消した。

 申入書では、国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。

 また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。

 川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした。

 ◇

 朝日新聞による慰安婦報道を検証する「第三者委員会」が2014年12月22日に公表した報告書で、「国際社会に与えた影響」については三つの報告が併記された。このうち吉田清治氏の証言(吉田証言)をめぐる報道について触れた主な部分は以下の通り。

 岡本行夫委員、北岡伸一委員

 「(日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、という)イメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」

 波多野澄雄委員

 「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」

 林香里委員

 「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」

 

2016年2月18日(木) しんぶん赤旗

日本政府「慰安婦」強制連行を否定 国連委で強い批判 女性差別の撤廃を審議

 【ジュネーブ=玉田文子】国連女性差別撤廃委員会による日本報告に対する審議が16日、ジュネーブの国連欧州本部でおこなわれ、日本軍「慰安婦」問題に対する日本政府の対応が厳しく批判されました。

 政府代表団の杉山晋輔外務審議官は「慰安婦」問題について、「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明しました。さらに、「性奴隷という表現は事実に反する」とのべるとともに、昨年12月の日韓合意で「最終的かつ不可逆的に解決した」などと主張しました。

 これに対し委員は、「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」と強烈な不満を突きつけました。

 女性差別撤廃委員会は日本政府に対し1994年以来繰り返し、日本軍「慰安婦」問題の解決を勧告しています。

 ところが政府は、第7、8回報告で「本条約を締結(1985年)する以前に生じた問題に対して遡(さかのぼ)って適用されないため、慰安婦問題を本条約の実施状況の報告において取り上げることは適切でない」として、開き直ってきました。

「国際社会で 通用しない」

 審議を傍聴した日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長の話

 委員会は、日本軍「慰安婦」問題について被害者への補償、加害者処罰、教育を含む永続的な解決を繰り返し勧告してきました。重大な人権侵害であり、今も続いている紛争下での性暴力を根絶する上で、この問題の解決が欠かせないという立場なのです。日本政府の対応は、人権問題だという認識がまったく欠如していることを示すものであり、国際社会では通用するものではありません。

 

異例の自費出版で大反響の『外務省犯罪黒書』。こんな人物が外交のトップに上り詰める国でいいのか? 2016年02月02日 17時00分提供:週プレNEWS

今から14年前の2002年、当時、自民党の衆議院議院運営委員長で現在、新党大地代表の鈴木宗男氏と、同じく当時、外務省国際情報局主任分析官で現在、ベストセラー作家の佐藤優氏が“国家の罠(わな)”にはめられた。 
東京地検特捜部が動き、犯罪をでっち上げられて逮捕・起訴されたのだ。いわゆる「鈴木宗男事件」である。裁判では、鈴木氏には懲役2年・追徴金1100万円、佐藤氏には懲役2年6月・執行猶予4年が言い渡された。 
普通ならばここで鈴木氏は政界引退、佐藤氏も外務省を辞職し姿を消すところだが、ふたりは不死鳥のごとくよみがえった。 
このふたりには、「絶対に許されざる者たち」がいる。“国家の罠”の裏で暗躍した外務省極悪官僚の面々だ。本来、外交で発揮すべき交渉力、情報戦術を彼らは鈴木宗男事件に投入し、ふたりを闇に葬ろうとした。 
しかし、鈴木氏は国会議員の武器である質問主意書で、佐藤氏は作家としてペンの力で外務省の闇をあぶり出し、彼らに対抗した。『外務省犯罪黒書』は10年前に月刊誌上で彼らが繰り広げた闘いの記録を、今あらためて一冊にまとめたものだ。 
*** 
―この本で外務省の悪事をふり返ると、本当にとんでもない役所だなと実感します。 
順番に見ていくと、モロッコで泥酔運転をして、現地人をひき殺した岡本治男氏。彼は免職にならないどころか、外交特権を使って罪を逃れ、わずか停職1ヵ月の処分で、その後、駐ドミニカ共和国特命全権大使に出世してます。しかも外務省は鈴木先生の質問主意書に対する回答で「この処分に関する当時の判断は、妥当であったと考える」と言っている。 
また、別の章では外国の大使・公使になると、とんでもない金を蓄財できることが明らかにされてます。 
大使になると給料の他にいろいろと手当がつきます。例えば10年前のモスクワで3年間大使をやると、非課税・精算不要の在勤基本手当だけで約3千万円が支給されるとあります。この調子で3ヵ国ぐらいの大使をやれば、国内外に3軒の高級マンションが買える金が貯まるとか。 
他にも、自分たちが使ってきたエージェントを簡単に見捨てた話とか、在ロシア日本大使館を舞台にした「ルーブル委員会」なる裏金組織があったこと、1972年の沖縄返還の密約についてのウソを絶対に認めないことなども暴露されています。 
そして、この本のある意味、主役である杉山晋輔外務審議官。彼は93年8月から95年1月のわずか1年半の間に外務省機密費2億円を使い込んだ。しかもその使い道は、銀座の高級クラブでの豪遊のみならず、料亭では全裸で肛門にろうそくを立てて点火し、座敷を這(は)い回る高等変態プレイまで含まれているとあります。 
佐藤さんがこの本を今、自費出版という形ででも発表しようとされた理由のひとつが、悪の大本命・杉山審議官がもうすぐ外務次官に就任しそうだからということです。ちなみに今、この本はどれくらい売れているんですか? 
佐藤 自費出版だと普通売れるのは数百部くらいでしょうが、おかげさまで1万部くらい出ているようです。 
鈴木 そりゃすごいですね。 
佐藤 杉山さんが最近、「鈴木先生の一件は、自分は本当はやりたくなかった。でも、当時の竹内事務次官にものすごい調子で言われ、生き残るためには仕方なかった」と言ってるそうなんですが、この話は鈴木先生の耳にも聞こえてきてますか? 
鈴木 きてますね。組織の一員として、上の意向に従わざるを得ませんでした。私の本意ではなかったんです、とね。 
―金は使い込んだ上に、変態プレイも大好きな人物が外務省のトップに上り詰める。それも驚きですが、そんな人が本当に北方領土交渉なんかできるんでしょうか? 
佐藤 義理を欠き、人情を欠き、平気で恥をかいてでも自分の出世を目指していくのが杉山さんです。今、安倍総理はサミット前の5月に訪ロしようと考えてます。それが実現しないと自分の出世はないと考えたら、杉山さんは一生懸命になるでしょう。 
―ロシア側はそんな杉山さんの性格を知っている? 
佐藤 よくわかっています。だから杉山さんが「国際情勢、日ロの戦略的提携」とか言っても、絶対に信用しないでしょうね(笑)。 
安倍総理の訪ロが実現しないと、自分の地位が危うくなるから命懸けでやる男であること、そして安倍総理の訪ロを実現させるためなら日本にとって不利な条件であっても譲歩するからくみしやすいこと、この2点をロシア側は見極めてるでしょう。 
―すると、日ロ関係が動くかもしれない? おふたりはよく「外交は人だ」とおっしゃってますが、それが“杉山外交”にも表れるんですね? 
佐藤 そうです。類は友を呼ぶで、ロシア側にも杉山系の人間がたくさん出てきます。時代劇の悪代官のところに悪徳商人が来て「お殿様、ここのところはこれで」という感じで交渉は進みます。 
今、化石燃料が安くなっているからロシア経済は大変です。しかし、中東で有事があれば、原油価格は一気に30倍ぐらいに跳ね上がる。そういう情勢なので、安定的・多角的に油を入れられるようにしなければならない日本はロシアと安値で長期契約ができるチャンス。日本にとってこのカードは外交上すごく有効なんですが、外務省はそんなこと全く考えていないでしょうね…。 
―この本にも書かれていますが、10年前の連載時から佐藤さんは外務省改革案を出されていました。それは10年たってどれくらい実現してるんでしょうか? 
佐藤 来年から入省する新人にTOEFLを受けさせる点は進歩しました。外交官試験を廃止したので、私がいた頃に比べて、語学力が弱い人間が大量に入ってきましたから。 
―10年前の段階でも外務省の能力が落ちているとありますが、今はどうですか? 
佐藤 日本外交で過去10年、例えば、国連常任理事国入りなど成功した事例は何かありますか? 成功したのは大使館の数が増えたことだけです。 
―10年前は、大使になると都内にマンションを3軒買えるほど金が貯まるとありました。これは? 
佐藤 10年前は3軒買えたのが今は1軒になりました。鈴木先生が質問主意書で、大使手当の積算根拠を聞いたりしたので、あまりデタラメができなくなりましたから。外務官僚からすると寂しい時代になりました。 
―鈴木先生の質問主意書爆撃と、佐藤さんのメディア暴露戦略が効果を挙げたわけですね。 
ところで、以前、佐藤さんは杉山審議官が次官になると、「とりあえず日本外交は止まる。再び動くのは、杉山さんが駐米大使になろうとして画策する時だろう」とおっしゃってました。杉山さんが外務省次官になるのがほぼ確定といわれている今、日本外交は何か動くんでしょうか? 
佐藤 それはひと昔前までのトップ。今はその上に日本版の国家安全保障局(NSC)の局長職がありますからね。駐米大使はアメリカの国務長官、国防長官にいつでも会えるわけじゃない。しかし、NSC局長はいつでも会える。さらにNSC局長は常に官邸にいますから、杉山さんはNSC局長になりたがるでしょう。 
鈴木 NSC局長と駐米大使なら、NSCを狙うでしょうね。総理の信頼があれば、これは大変な力のあるポストですから。 
佐藤 でも、杉山さん、本当に次官になれますかね? 
鈴木 私はこの本が出た関係で、賢明な判断をされる人が出てくると思いますね(笑)。 
(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博) 
●佐藤 優(さとう・まさる)
1960年生まれ、東京都出身。外務省時代に鈴木宗男氏と知り合い、鈴木氏同様、国策捜査で逮捕・起訴される。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として活躍。近著は『資本主義の極意』『大世界史』(池上彰氏との共著) 
●鈴木宗男(すずき・むねお)
1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。2002年に国策捜査で逮捕・起訴、2010年に収監される。現在は2017年4月公民権停止満了後の立候補、議員復活に向け、全国行脚中! 近著に『ムネオの遺言』『外交の大問題』(佐藤氏との共著)がある 
■佐藤氏が月刊『現代』2006年6月号から2007年1月号にかけて連載していた「外務省『犯罪白書』」と、鈴木氏の『闇権力の執行人』の第4章を合わせてまとめた一冊。この数十年の外務省の黒歴史、外務省の体質が赤裸々に描かれている(講談社エディトリアル、1600円+税) 

 

 

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杉山外務省審議官が国連の委員会で「慰安婦」強制連行はねつ造と主張するも、性奴隷でない説明はできず。

2016-02-20 05:34 Everyone says I love you !

 

 安倍政権は政府代表の杉山晋輔外務審議官を2016年2月16日にジュネーブで開かれた国連の女子差別撤廃委員会に出席させ、「慰安婦」問題について、軍や官憲による強制連行を裏付ける資料がないとか、韓国の済州島で強制連行があったとする吉田清治氏の証言を

「捏造」「完全に想像の産物」

と述べさせ、証言を繰り返し報道した朝日新聞が

「誤りを認め謝罪した」

ことを説明させました。

 とにかく、杉山審議官の話の中にはこれでもかというくらい「朝日新聞が」「朝日新聞が」という話が出てきます。

追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

 

 

 外務省によると、政府が国連で吉田証言や朝日新聞の謝罪を説明するのは初めてで、産経新聞や保守論壇は画期的なことだとほめたたえています。

 しかし、慰安婦を「強制連行された軍用性奴隷」と断定した国連人権委員会のクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告書は、吉田証言を根拠の一つにしたにすぎず、吉田証言一つが覆ったところで、各報告書の全体の価値が損なわれるわけではありません。

 さらに、前述のように、杉山審議官は朝日新聞が誤った報道をしたから国際的な誤解を招いたと再三言うのですが、朝日新聞にそんな国際的な影響力なんてありませんよ(苦笑)。

 また、1991年当時は朝日新聞だけでなく、どの新聞も「慰安婦」が強制連行されたと報道していましたし、当の産経新聞など1993年になってもまだ「慰安婦」は強制連行されたという記事を書いていました。

 なんでも朝日新聞におっかぶせようとする杉山氏は、産経新聞の特派員のようです。

参考

2015.8.30 06:00産経新聞 【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(2)】 「『強制連行』僕は使っていない」

産経新聞、内閣法制局長官が「臨時国会召集しなくても違憲でない」と答弁している、と「誤報」。

 

杉山審議官はこの委員会で
「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」
と述べたのですが、資料が見つからないということと、強制連行がなかったということとは全く違います。 また、資料がなかったということと、吉田証言が虚偽だったという2点を強調して、強制連行がなかったと結論付けるのは論理的ではなく、目くらましにすぎません。 そもそも、たとえば誘拐事件で、被害者が誘拐されたと言っているのに、加害者が誘拐したということを文書に記録して残していないからと言って、誘拐の事実はなかったと事実認定したら、裁判官としては失格です。加害者側が記録を残さず、もしくは記録を証拠隠滅するのは当然のことです。
杉山審議官の弁明に対して、女性差別撤廃委員会の委員が
「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」
と痛烈に批判したのは当然です。
安倍政権は「慰安婦」に関して、国連の委員会という場に、歴史的事実を自分に都合のいいように捏造する歴史修正主義の立場に立つことを自白しに行ったようなもので、国際社会に対する恥さらしです。

そして、杉山審議官は、「慰安婦」が性奴隷だったという事実はないと二回言っているのですが、二度ともなぜそう言えるのか、「慰安婦」の実態がなぜ性奴隷ではないのか、まったく理由を述べていません。言えなかったのです。
それはそうでしょう。
「慰安婦」には、兵士に対する性奉仕を拒絶する自由はなく、一日何十人もセックスを強要され、もちろん慰安所から去る自由などなかったのですから。というか、朝鮮半島から遠く離れた中国大陸や南方戦線に連れ去られているのですから、家に帰れるわけがありません。 この強制性を性奴隷と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。
まさか、国連の委員会で、日本の極右が言うように、「慰安婦」は高給取りで、セックスを拒絶するのも家に帰るのも自由だった、などとは外務省としてもさすがに恥ずかしくて言えなかったのでしょう。
そして、これは杉山審議官も認めざるを得なかったように、、この「慰安婦」制度と慰安所には軍が関与しており、
「慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たった」
のです。つまり、「慰安婦」にセックスを強制し、性奴隷とした責任は日本軍にあるのです。

そうであるにもかかわらず、外務省の審議官が女性の権利を扱う国連の女性差別撤廃委員会にのこのこと出かけて行って、「慰安婦」制度に対して誤解があります、それは朝日新聞のせいなんです、などと政府の代表として言うことが、日本に対する評価をどれだけ下げるものか、安倍政権にはわからないのでしょうか。
だから、これまでの保守党政権でも、そういう馬鹿なことまではしなかったのです。
こんなことをしてしまう安倍政権にも、これをもてはやす日本の保守メディアにも、本当にうんざりです。
  カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著)より      

少年事件を起こした子どもたちには、悪いことをしたのに反省せず、それをごまかすのはさらに恥ずかしいことだと、よく言って聞かせるんですけどねえ。

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2016.2.17 10:00 【慰安婦問題】 「批判は事実に反する」国連委で 遅まきながら政府が反転攻勢 河野談話の重荷なお  ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=16日(共同)

 「受け入れられない」

 女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題に関する杉山晋輔外務審議官の発言後、中国出身の女性委員が声を上げた。「誰も70年前の出来事を否定したり、変えたりすることはできない」

 これに対し、杉山氏は 「日本政府が例えば歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も取っていないというご批判は事実に反すると言わざるを得ない」と穏やかな口調ながらも強く反論した。

 しかし、別の委員からも、日本は1993(平成5)年に慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を出しているのにもかかわらず、なぜ今になって否定するのかといった疑問の声が上がった。

 慰安婦問題については、政府の責任を追及する日本人活動家が1990年代から国連で歪曲(わいきょく)した事実関係を流布し、定着させてきた。そうした中で河野談話は、慰安婦を「性奴隷」とする認識を定着させた96年のクマラスワミ報告書につながった。当時の日本政府も同報告書の反論文を準備したが、政治的な配慮から国連に提出せず、事実関係を国際社会に説明する絶好の機会を自ら逃している。

 今回の女子差別撤廃委員会で、日本政府が国連を舞台とした“歴史戦”で反転攻勢に出たことは、遅きに失した感があるものの評価できる。政府は河野談話を堅持しながら事実関係を説明するという“重荷”を背負いながら、あらゆる機会を利用して事実関係の説明を続けていかなければならない。(ジュネーブ 田北真樹子)


国連女性差別撤廃委員会における杉山審議官の主な発言

2016年2月19日05時03分 朝日新聞

 国連の女性差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題をめぐる杉山晋輔外務審議官の発言は以下の通り。

 ◇

 冒頭発言の中で触れた部分

 長年にわたり日韓両国間の懸案事項であった慰安婦問題に関しては、昨年12月28日に日韓外相会談が行われ、この問題は両国の間で「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。現在、両国それぞれが合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであります。

 日本政府としては20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、リードしていく考えであります。

 本件については一言付け加えさせていただきます。そもそも女子差別撤廃条約は日本が同条約を締結した1985年ですが、締結以前に生じた問題に対してさかのぼって適用はされないということでありますから、慰安婦問題を当条約の実施状況の報告において取り上げることは、適切ではないというのが日本政府の基本的な考え方だ、ということを一言付け加えさせていただきます。

 委員との質疑応答での発言①

 これまで申し上げたことに加えて、次のとおり主要な点、重要ですので口頭で申し上げます。

 まず書面でも回答したとおり、日本政府は日韓間で慰安婦問題が政治・外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行いました。しかしながら日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行というものを確認するもの、確認できるものはありませんでした。

 慰安婦が強制連行されたという見方がひろく流布された原因は、1983年、故人になりました吉田清治氏が「私の戦争犯罪」という本、刊行物の中で、吉田清治氏自らが「日本軍の命令で韓国のチェジュ島において大勢の女性狩りをした」という虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表したためであります。この書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により、事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えました。しかしながら、この書物の内容は後に複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されています。

 それが証拠にこの朝日新聞自身も、2014年8月5日および6日をふくめ、その後9月にも累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りをみとめ、正式にこの点につき読者に謝罪をしています。また、「20万人」という数字も具体的な裏付けのない数字であります。朝日新聞は2014年8月5日付の記事で、女子挺身(ていしん)隊とは戦時下の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で女性を労働力として動員するために組織された女子勤労挺身隊を指す、目的は労働力の利用であり、将兵の性の相手をさせられた慰安婦とは別だ、としたうえで、「20万人」との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めているのであります。

 なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。

 日韓両政府間では、慰安婦問題の早期妥結に向けて真剣に協議をおこなってきたところでありますが、先ほど申し上げたように、昨年12月28日にソウルにて日韓外相会談が開催され、日韓外相間で本件につき妥結にいたり、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。同日午後、日韓首脳電話会談が行われ、両首脳はこの合意にいたったことを確認し、評価した次第であります。冒頭申し上げましたように、このときの日韓合意を表す資料は書面の回答に添付されておりますので、ここでその内容の詳細をくりかえしてご説明することはしません。日本政府はこれまでもアジア女性基金などを通じて本問題に真剣に取り組んでまいりました。今後もしたがって韓国政府が元慰安婦の方の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算10億円程度でありますが、資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととなっております。

 現在、日韓両国政府はそれぞれ、合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであり、この点は現時点でもまったく変わりはありません。このような日韓両国政府の努力につき、国際社会のご理解をいただけると大変ありがたく思います。ちなみに、潘基文国連事務総長を含め、国際社会は日韓両国が合意に達したことに歓迎の意を表明していると承知をしています。

 もう一点だけ、最後に付け加えます。いまご質問いただいたホフマイスター判事は、他の国の例もお挙げになりました。先の大戦に関わる賠償ならび財産及び請求権の問題について、ご指摘になられた点も含め、日本政府は米仏等45カ国との間で締結したサンフランシスコ平和条約、それだけではなくて、その他の二国間の条約など、これは日韓請求権経済協力協定も含めますし、日中の処理の仕方も含みます。こういったものによって、ここでそれいちいち法律的に説明することはしませんが、誠実に対応してきており、これらとの条約などの当事者との間では、個人の請求権の問題を含めて、法的に解決済みだ、というのが日本政府の一貫した立場です。

 最後に一言。にもかかわらず、日本政府はアジア女性基金を構築し、我が国の予算からの拠出と一般からの募金によって一定の活動をしたということも、説明をすると、きちんと説明するためには長くなりますので、ここでアジアの女性基金についての詳細は説明しませんが、おそらくここにおられる各委員の皆様はその内容をよくご存じと思いますので、その点だけ付言をして私の答えにさせていただきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言②

 あのゾウ委員からご指摘された点についていくつかお答えをします。

 まず第一に、さきほど内容については、あの、「すでにお配りしてあるので詳しく説明しません」と申し上げましたが、昨年の12月28日に岸田大臣と尹長官の間で、「最終的かつ不可逆的」に解決されていることは文書の回答の添付の文書を見ていただければ、明確だと思います。従って、日本政府がこの問題について、例えば、歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も執っていないというご批判は事実に反するといわざるをえません。

 ちなみに、さきほど、いわゆる強制ということは、我々が調査した中では、裏付けられなかった、と申し上げましたが、この岸田大臣の合意のなかには、慰安婦問題は当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している、えー、ちょっと飛ばしますが、これらすべての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する、そして額は10億円程度ということですが、日本の予算の措置により、財団を設立する。あの、それからさらにいろんな説明しなきゃいけないんですが、中身について時間がないのでそれ以上はいいません。

 ここでいう、当時の軍の関与というのは、慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たったということであるということは、従来から認めていることであって、私がさっき申し上げたことは、そのこととともに、たとえば「20万人」という数字は完全に間違いだと、本人っていうか、出した新聞社が認めているとか、そういうことを明確にするために申し上げたわけだし。それから「性奴隷」という表現も事実に反するということをもう一度ここで繰り返しておきたい。

 ちなみに、書面で回答に添付したこの両外相の共同発表の文書の中にも「性奴隷」という言葉は1カ所も見つからないのも事実であります。従って、今、ゾウ委員からご指摘を受けましたが、非常に残念なことに、ゾウ委員のご指摘は、いずれの点においても、日本政府として受け入れられるものでないだけではなくて、事実に反することを発言されたという風に、申し上げざるを、残念ながら、申し上げざるを得ないということを明確に発言をしておきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言③

 ほんの数十秒。さきほど一つ大事なことを言うのを忘れたのでいいます。

 あの、すでに先ほど申し上げたとおり、委員のお手元に届けてある日韓の合意、これは日韓間の合意であって、これを現在、日韓両国政府はそれぞれ誠実に実行に移すべく、取り組んでいるところであり、この点は全く変わっていません。このような日韓間の合意についてぜひ理解をしていただきたい。こういう重要なことを忘れていたのでもう一回繰り返します。

 

 

国連委で慰安婦報道言及、外務省に申し入れ 朝日新聞社

2016年2月19日05時02分 朝日新聞

 スイス・ジュネーブで16日に開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査で、外務省の杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題について発言した際に朝日新聞の過去の報道などに触れ、「国際社会に大きな影響を与えた」などと述べた。朝日新聞東京本社報道局は18日、外務省に対し、「根拠を示さない発言」などとして遺憾であると文書で申し入れた。

第三者委員会報告書の全文(PDF)はこちら
杉山氏は、朝鮮で慰安婦を強制連行したと証言した故・吉田清治氏について「虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表した」と説明し、「(吉田氏の)書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」と述べた。

 さらに、慰安婦の人数について、「20万人という数字も具体的に裏付けのない数字」とし、「20万人との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると(朝日新聞が)自ら認めているのであります」などと発言した。

 慰安婦に関する報道をめぐっては、朝日新聞社は2014年8月、吉田氏の証言を虚偽と判断し、関連の記事を取り消した。

 申入書では、国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。

 また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。

 川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした。

 ◇

 朝日新聞による慰安婦報道を検証する「第三者委員会」が2014年12月22日に公表した報告書で、「国際社会に与えた影響」については三つの報告が併記された。このうち吉田清治氏の証言(吉田証言)をめぐる報道について触れた主な部分は以下の通り。

 岡本行夫委員、北岡伸一委員

 「(日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、という)イメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」

 波多野澄雄委員

 「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」

 林香里委員

 「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」

 

2016年2月18日(木) しんぶん赤旗

日本政府「慰安婦」強制連行を否定 国連委で強い批判 女性差別の撤廃を審議

 【ジュネーブ=玉田文子】国連女性差別撤廃委員会による日本報告に対する審議が16日、ジュネーブの国連欧州本部でおこなわれ、日本軍「慰安婦」問題に対する日本政府の対応が厳しく批判されました。

 政府代表団の杉山晋輔外務審議官は「慰安婦」問題について、「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明しました。さらに、「性奴隷という表現は事実に反する」とのべるとともに、昨年12月の日韓合意で「最終的かつ不可逆的に解決した」などと主張しました。

 これに対し委員は、「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」と強烈な不満を突きつけました。

 女性差別撤廃委員会は日本政府に対し1994年以来繰り返し、日本軍「慰安婦」問題の解決を勧告しています。

 ところが政府は、第7、8回報告で「本条約を締結(1985年)する以前に生じた問題に対して遡(さかのぼ)って適用されないため、慰安婦問題を本条約の実施状況の報告において取り上げることは適切でない」として、開き直ってきました。

「国際社会で 通用しない」

 審議を傍聴した日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長の話

 委員会は、日本軍「慰安婦」問題について被害者への補償、加害者処罰、教育を含む永続的な解決を繰り返し勧告してきました。重大な人権侵害であり、今も続いている紛争下での性暴力を根絶する上で、この問題の解決が欠かせないという立場なのです。日本政府の対応は、人権問題だという認識がまったく欠如していることを示すものであり、国際社会では通用するものではありません。

 

異例の自費出版で大反響の『外務省犯罪黒書』。こんな人物が外交のトップに上り詰める国でいいのか? 2016年02月02日 17時00分提供:週プレNEWS

今から14年前の2002年、当時、自民党の衆議院議院運営委員長で現在、新党大地代表の鈴木宗男氏と、同じく当時、外務省国際情報局主任分析官で現在、ベストセラー作家の佐藤優氏が“国家の罠(わな)”にはめられた。 
東京地検特捜部が動き、犯罪をでっち上げられて逮捕・起訴されたのだ。いわゆる「鈴木宗男事件」である。裁判では、鈴木氏には懲役2年・追徴金1100万円、佐藤氏には懲役2年6月・執行猶予4年が言い渡された。 
普通ならばここで鈴木氏は政界引退、佐藤氏も外務省を辞職し姿を消すところだが、ふたりは不死鳥のごとくよみがえった。 
このふたりには、「絶対に許されざる者たち」がいる。“国家の罠”の裏で暗躍した外務省極悪官僚の面々だ。本来、外交で発揮すべき交渉力、情報戦術を彼らは鈴木宗男事件に投入し、ふたりを闇に葬ろうとした。 
しかし、鈴木氏は国会議員の武器である質問主意書で、佐藤氏は作家としてペンの力で外務省の闇をあぶり出し、彼らに対抗した。『外務省犯罪黒書』は10年前に月刊誌上で彼らが繰り広げた闘いの記録を、今あらためて一冊にまとめたものだ。 
*** 
―この本で外務省の悪事をふり返ると、本当にとんでもない役所だなと実感します。 
順番に見ていくと、モロッコで泥酔運転をして、現地人をひき殺した岡本治男氏。彼は免職にならないどころか、外交特権を使って罪を逃れ、わずか停職1ヵ月の処分で、その後、駐ドミニカ共和国特命全権大使に出世してます。しかも外務省は鈴木先生の質問主意書に対する回答で「この処分に関する当時の判断は、妥当であったと考える」と言っている。 
また、別の章では外国の大使・公使になると、とんでもない金を蓄財できることが明らかにされてます。 
大使になると給料の他にいろいろと手当がつきます。例えば10年前のモスクワで3年間大使をやると、非課税・精算不要の在勤基本手当だけで約3千万円が支給されるとあります。この調子で3ヵ国ぐらいの大使をやれば、国内外に3軒の高級マンションが買える金が貯まるとか。 
他にも、自分たちが使ってきたエージェントを簡単に見捨てた話とか、在ロシア日本大使館を舞台にした「ルーブル委員会」なる裏金組織があったこと、1972年の沖縄返還の密約についてのウソを絶対に認めないことなども暴露されています。 
そして、この本のある意味、主役である杉山晋輔外務審議官。彼は93年8月から95年1月のわずか1年半の間に外務省機密費2億円を使い込んだ。しかもその使い道は、銀座の高級クラブでの豪遊のみならず、料亭では全裸で肛門にろうそくを立てて点火し、座敷を這(は)い回る高等変態プレイまで含まれているとあります。 
佐藤さんがこの本を今、自費出版という形ででも発表しようとされた理由のひとつが、悪の大本命・杉山審議官がもうすぐ外務次官に就任しそうだからということです。ちなみに今、この本はどれくらい売れているんですか? 
佐藤 自費出版だと普通売れるのは数百部くらいでしょうが、おかげさまで1万部くらい出ているようです。 
鈴木 そりゃすごいですね。 
佐藤 杉山さんが最近、「鈴木先生の一件は、自分は本当はやりたくなかった。でも、当時の竹内事務次官にものすごい調子で言われ、生き残るためには仕方なかった」と言ってるそうなんですが、この話は鈴木先生の耳にも聞こえてきてますか? 
鈴木 きてますね。組織の一員として、上の意向に従わざるを得ませんでした。私の本意ではなかったんです、とね。 
―金は使い込んだ上に、変態プレイも大好きな人物が外務省のトップに上り詰める。それも驚きですが、そんな人が本当に北方領土交渉なんかできるんでしょうか? 
佐藤 義理を欠き、人情を欠き、平気で恥をかいてでも自分の出世を目指していくのが杉山さんです。今、安倍総理はサミット前の5月に訪ロしようと考えてます。それが実現しないと自分の出世はないと考えたら、杉山さんは一生懸命になるでしょう。 
―ロシア側はそんな杉山さんの性格を知っている? 
佐藤 よくわかっています。だから杉山さんが「国際情勢、日ロの戦略的提携」とか言っても、絶対に信用しないでしょうね(笑)。 
安倍総理の訪ロが実現しないと、自分の地位が危うくなるから命懸けでやる男であること、そして安倍総理の訪ロを実現させるためなら日本にとって不利な条件であっても譲歩するからくみしやすいこと、この2点をロシア側は見極めてるでしょう。 
―すると、日ロ関係が動くかもしれない? おふたりはよく「外交は人だ」とおっしゃってますが、それが“杉山外交”にも表れるんですね? 
佐藤 そうです。類は友を呼ぶで、ロシア側にも杉山系の人間がたくさん出てきます。時代劇の悪代官のところに悪徳商人が来て「お殿様、ここのところはこれで」という感じで交渉は進みます。 
今、化石燃料が安くなっているからロシア経済は大変です。しかし、中東で有事があれば、原油価格は一気に30倍ぐらいに跳ね上がる。そういう情勢なので、安定的・多角的に油を入れられるようにしなければならない日本はロシアと安値で長期契約ができるチャンス。日本にとってこのカードは外交上すごく有効なんですが、外務省はそんなこと全く考えていないでしょうね…。 
―この本にも書かれていますが、10年前の連載時から佐藤さんは外務省改革案を出されていました。それは10年たってどれくらい実現してるんでしょうか? 
佐藤 来年から入省する新人にTOEFLを受けさせる点は進歩しました。外交官試験を廃止したので、私がいた頃に比べて、語学力が弱い人間が大量に入ってきましたから。 
―10年前の段階でも外務省の能力が落ちているとありますが、今はどうですか? 
佐藤 日本外交で過去10年、例えば、国連常任理事国入りなど成功した事例は何かありますか? 成功したのは大使館の数が増えたことだけです。 
―10年前は、大使になると都内にマンションを3軒買えるほど金が貯まるとありました。これは? 
佐藤 10年前は3軒買えたのが今は1軒になりました。鈴木先生が質問主意書で、大使手当の積算根拠を聞いたりしたので、あまりデタラメができなくなりましたから。外務官僚からすると寂しい時代になりました。 
―鈴木先生の質問主意書爆撃と、佐藤さんのメディア暴露戦略が効果を挙げたわけですね。 
ところで、以前、佐藤さんは杉山審議官が次官になると、「とりあえず日本外交は止まる。再び動くのは、杉山さんが駐米大使になろうとして画策する時だろう」とおっしゃってました。杉山さんが外務省次官になるのがほぼ確定といわれている今、日本外交は何か動くんでしょうか? 
佐藤 それはひと昔前までのトップ。今はその上に日本版の国家安全保障局(NSC)の局長職がありますからね。駐米大使はアメリカの国務長官、国防長官にいつでも会えるわけじゃない。しかし、NSC局長はいつでも会える。さらにNSC局長は常に官邸にいますから、杉山さんはNSC局長になりたがるでしょう。 
鈴木 NSC局長と駐米大使なら、NSCを狙うでしょうね。総理の信頼があれば、これは大変な力のあるポストですから。 
佐藤 でも、杉山さん、本当に次官になれますかね? 
鈴木 私はこの本が出た関係で、賢明な判断をされる人が出てくると思いますね(笑)。 
(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博) 
●佐藤 優(さとう・まさる)
1960年生まれ、東京都出身。外務省時代に鈴木宗男氏と知り合い、鈴木氏同様、国策捜査で逮捕・起訴される。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として活躍。近著は『資本主義の極意』『大世界史』(池上彰氏との共著) 
●鈴木宗男(すずき・むねお)
1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。2002年に国策捜査で逮捕・起訴、2010年に収監される。現在は2017年4月公民権停止満了後の立候補、議員復活に向け、全国行脚中! 近著に『ムネオの遺言』『外交の大問題』(佐藤氏との共著)がある 
■佐藤氏が月刊『現代』2006年6月号から2007年1月号にかけて連載していた「外務省『犯罪白書』」と、鈴木氏の『闇権力の執行人』の第4章を合わせてまとめた一冊。この数十年の外務省の黒歴史、外務省の体質が赤裸々に描かれている(講談社エディトリアル、1600円+税) 

 

 

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杉山外務省審議官が国連の委員会で「慰安婦」強制連行はねつ造と主張するも、性奴隷でない説明はできず。

2016-02-20 05:34 Everyone says I love you !

 

 安倍政権は政府代表の杉山晋輔外務審議官を2016年2月16日にジュネーブで開かれた国連の女子差別撤廃委員会に出席させ、「慰安婦」問題について、軍や官憲による強制連行を裏付ける資料がないとか、韓国の済州島で強制連行があったとする吉田清治氏の証言を

「捏造」「完全に想像の産物」

と述べさせ、証言を繰り返し報道した朝日新聞が

「誤りを認め謝罪した」

ことを説明させました。

 とにかく、杉山審議官の話の中にはこれでもかというくらい「朝日新聞が」「朝日新聞が」という話が出てきます。

追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

 

 

 外務省によると、政府が国連で吉田証言や朝日新聞の謝罪を説明するのは初めてで、産経新聞や保守論壇は画期的なことだとほめたたえています。

 しかし、慰安婦を「強制連行された軍用性奴隷」と断定した国連人権委員会のクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告書は、吉田証言を根拠の一つにしたにすぎず、吉田証言一つが覆ったところで、各報告書の全体の価値が損なわれるわけではありません。

 さらに、前述のように、杉山審議官は朝日新聞が誤った報道をしたから国際的な誤解を招いたと再三言うのですが、朝日新聞にそんな国際的な影響力なんてありませんよ(苦笑)。

 また、1991年当時は朝日新聞だけでなく、どの新聞も「慰安婦」が強制連行されたと報道していましたし、当の産経新聞など1993年になってもまだ「慰安婦」は強制連行されたという記事を書いていました。

 なんでも朝日新聞におっかぶせようとする杉山氏は、産経新聞の特派員のようです。

参考

2015.8.30 06:00産経新聞 【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(2)】 「『強制連行』僕は使っていない」

産経新聞、内閣法制局長官が「臨時国会召集しなくても違憲でない」と答弁している、と「誤報」。

 

杉山審議官はこの委員会で
「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」
と述べたのですが、資料が見つからないということと、強制連行がなかったということとは全く違います。 また、資料がなかったということと、吉田証言が虚偽だったという2点を強調して、強制連行がなかったと結論付けるのは論理的ではなく、目くらましにすぎません。 そもそも、たとえば誘拐事件で、被害者が誘拐されたと言っているのに、加害者が誘拐したということを文書に記録して残していないからと言って、誘拐の事実はなかったと事実認定したら、裁判官としては失格です。加害者側が記録を残さず、もしくは記録を証拠隠滅するのは当然のことです。
杉山審議官の弁明に対して、女性差別撤廃委員会の委員が
「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」
と痛烈に批判したのは当然です。
安倍政権は「慰安婦」に関して、国連の委員会という場に、歴史的事実を自分に都合のいいように捏造する歴史修正主義の立場に立つことを自白しに行ったようなもので、国際社会に対する恥さらしです。

そして、杉山審議官は、「慰安婦」が性奴隷だったという事実はないと二回言っているのですが、二度ともなぜそう言えるのか、「慰安婦」の実態がなぜ性奴隷ではないのか、まったく理由を述べていません。言えなかったのです。
それはそうでしょう。
「慰安婦」には、兵士に対する性奉仕を拒絶する自由はなく、一日何十人もセックスを強要され、もちろん慰安所から去る自由などなかったのですから。というか、朝鮮半島から遠く離れた中国大陸や南方戦線に連れ去られているのですから、家に帰れるわけがありません。 この強制性を性奴隷と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。
まさか、国連の委員会で、日本の極右が言うように、「慰安婦」は高給取りで、セックスを拒絶するのも家に帰るのも自由だった、などとは外務省としてもさすがに恥ずかしくて言えなかったのでしょう。
そして、これは杉山審議官も認めざるを得なかったように、、この「慰安婦」制度と慰安所には軍が関与しており、
「慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たった」
のです。つまり、「慰安婦」にセックスを強制し、性奴隷とした責任は日本軍にあるのです。

そうであるにもかかわらず、外務省の審議官が女性の権利を扱う国連の女性差別撤廃委員会にのこのこと出かけて行って、「慰安婦」制度に対して誤解があります、それは朝日新聞のせいなんです、などと政府の代表として言うことが、日本に対する評価をどれだけ下げるものか、安倍政権にはわからないのでしょうか。
だから、これまでの保守党政権でも、そういう馬鹿なことまではしなかったのです。
こんなことをしてしまう安倍政権にも、これをもてはやす日本の保守メディアにも、本当にうんざりです。
  カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著)より      

少年事件を起こした子どもたちには、悪いことをしたのに反省せず、それをごまかすのはさらに恥ずかしいことだと、よく言って聞かせるんですけどねえ。

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2016.2.17 10:00 【慰安婦問題】 「批判は事実に反する」国連委で 遅まきながら政府が反転攻勢 河野談話の重荷なお  ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=16日(共同)

 「受け入れられない」

 女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題に関する杉山晋輔外務審議官の発言後、中国出身の女性委員が声を上げた。「誰も70年前の出来事を否定したり、変えたりすることはできない」

 これに対し、杉山氏は 「日本政府が例えば歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も取っていないというご批判は事実に反すると言わざるを得ない」と穏やかな口調ながらも強く反論した。

 しかし、別の委員からも、日本は1993(平成5)年に慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を出しているのにもかかわらず、なぜ今になって否定するのかといった疑問の声が上がった。

 慰安婦問題については、政府の責任を追及する日本人活動家が1990年代から国連で歪曲(わいきょく)した事実関係を流布し、定着させてきた。そうした中で河野談話は、慰安婦を「性奴隷」とする認識を定着させた96年のクマラスワミ報告書につながった。当時の日本政府も同報告書の反論文を準備したが、政治的な配慮から国連に提出せず、事実関係を国際社会に説明する絶好の機会を自ら逃している。

 今回の女子差別撤廃委員会で、日本政府が国連を舞台とした“歴史戦”で反転攻勢に出たことは、遅きに失した感があるものの評価できる。政府は河野談話を堅持しながら事実関係を説明するという“重荷”を背負いながら、あらゆる機会を利用して事実関係の説明を続けていかなければならない。(ジュネーブ 田北真樹子)


国連女性差別撤廃委員会における杉山審議官の主な発言

2016年2月19日05時03分 朝日新聞

 国連の女性差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題をめぐる杉山晋輔外務審議官の発言は以下の通り。

 ◇

 冒頭発言の中で触れた部分

 長年にわたり日韓両国間の懸案事項であった慰安婦問題に関しては、昨年12月28日に日韓外相会談が行われ、この問題は両国の間で「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。現在、両国それぞれが合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであります。

 日本政府としては20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、リードしていく考えであります。

 本件については一言付け加えさせていただきます。そもそも女子差別撤廃条約は日本が同条約を締結した1985年ですが、締結以前に生じた問題に対してさかのぼって適用はされないということでありますから、慰安婦問題を当条約の実施状況の報告において取り上げることは、適切ではないというのが日本政府の基本的な考え方だ、ということを一言付け加えさせていただきます。

 委員との質疑応答での発言①

 これまで申し上げたことに加えて、次のとおり主要な点、重要ですので口頭で申し上げます。

 まず書面でも回答したとおり、日本政府は日韓間で慰安婦問題が政治・外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行いました。しかしながら日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行というものを確認するもの、確認できるものはありませんでした。

 慰安婦が強制連行されたという見方がひろく流布された原因は、1983年、故人になりました吉田清治氏が「私の戦争犯罪」という本、刊行物の中で、吉田清治氏自らが「日本軍の命令で韓国のチェジュ島において大勢の女性狩りをした」という虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表したためであります。この書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により、事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えました。しかしながら、この書物の内容は後に複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されています。

 それが証拠にこの朝日新聞自身も、2014年8月5日および6日をふくめ、その後9月にも累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りをみとめ、正式にこの点につき読者に謝罪をしています。また、「20万人」という数字も具体的な裏付けのない数字であります。朝日新聞は2014年8月5日付の記事で、女子挺身(ていしん)隊とは戦時下の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で女性を労働力として動員するために組織された女子勤労挺身隊を指す、目的は労働力の利用であり、将兵の性の相手をさせられた慰安婦とは別だ、としたうえで、「20万人」との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めているのであります。

 なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。

 日韓両政府間では、慰安婦問題の早期妥結に向けて真剣に協議をおこなってきたところでありますが、先ほど申し上げたように、昨年12月28日にソウルにて日韓外相会談が開催され、日韓外相間で本件につき妥結にいたり、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。同日午後、日韓首脳電話会談が行われ、両首脳はこの合意にいたったことを確認し、評価した次第であります。冒頭申し上げましたように、このときの日韓合意を表す資料は書面の回答に添付されておりますので、ここでその内容の詳細をくりかえしてご説明することはしません。日本政府はこれまでもアジア女性基金などを通じて本問題に真剣に取り組んでまいりました。今後もしたがって韓国政府が元慰安婦の方の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算10億円程度でありますが、資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととなっております。

 現在、日韓両国政府はそれぞれ、合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであり、この点は現時点でもまったく変わりはありません。このような日韓両国政府の努力につき、国際社会のご理解をいただけると大変ありがたく思います。ちなみに、潘基文国連事務総長を含め、国際社会は日韓両国が合意に達したことに歓迎の意を表明していると承知をしています。

 もう一点だけ、最後に付け加えます。いまご質問いただいたホフマイスター判事は、他の国の例もお挙げになりました。先の大戦に関わる賠償ならび財産及び請求権の問題について、ご指摘になられた点も含め、日本政府は米仏等45カ国との間で締結したサンフランシスコ平和条約、それだけではなくて、その他の二国間の条約など、これは日韓請求権経済協力協定も含めますし、日中の処理の仕方も含みます。こういったものによって、ここでそれいちいち法律的に説明することはしませんが、誠実に対応してきており、これらとの条約などの当事者との間では、個人の請求権の問題を含めて、法的に解決済みだ、というのが日本政府の一貫した立場です。

 最後に一言。にもかかわらず、日本政府はアジア女性基金を構築し、我が国の予算からの拠出と一般からの募金によって一定の活動をしたということも、説明をすると、きちんと説明するためには長くなりますので、ここでアジアの女性基金についての詳細は説明しませんが、おそらくここにおられる各委員の皆様はその内容をよくご存じと思いますので、その点だけ付言をして私の答えにさせていただきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言②

 あのゾウ委員からご指摘された点についていくつかお答えをします。

 まず第一に、さきほど内容については、あの、「すでにお配りしてあるので詳しく説明しません」と申し上げましたが、昨年の12月28日に岸田大臣と尹長官の間で、「最終的かつ不可逆的」に解決されていることは文書の回答の添付の文書を見ていただければ、明確だと思います。従って、日本政府がこの問題について、例えば、歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も執っていないというご批判は事実に反するといわざるをえません。

 ちなみに、さきほど、いわゆる強制ということは、我々が調査した中では、裏付けられなかった、と申し上げましたが、この岸田大臣の合意のなかには、慰安婦問題は当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している、えー、ちょっと飛ばしますが、これらすべての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する、そして額は10億円程度ということですが、日本の予算の措置により、財団を設立する。あの、それからさらにいろんな説明しなきゃいけないんですが、中身について時間がないのでそれ以上はいいません。

 ここでいう、当時の軍の関与というのは、慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たったということであるということは、従来から認めていることであって、私がさっき申し上げたことは、そのこととともに、たとえば「20万人」という数字は完全に間違いだと、本人っていうか、出した新聞社が認めているとか、そういうことを明確にするために申し上げたわけだし。それから「性奴隷」という表現も事実に反するということをもう一度ここで繰り返しておきたい。

 ちなみに、書面で回答に添付したこの両外相の共同発表の文書の中にも「性奴隷」という言葉は1カ所も見つからないのも事実であります。従って、今、ゾウ委員からご指摘を受けましたが、非常に残念なことに、ゾウ委員のご指摘は、いずれの点においても、日本政府として受け入れられるものでないだけではなくて、事実に反することを発言されたという風に、申し上げざるを、残念ながら、申し上げざるを得ないということを明確に発言をしておきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言③

 ほんの数十秒。さきほど一つ大事なことを言うのを忘れたのでいいます。

 あの、すでに先ほど申し上げたとおり、委員のお手元に届けてある日韓の合意、これは日韓間の合意であって、これを現在、日韓両国政府はそれぞれ誠実に実行に移すべく、取り組んでいるところであり、この点は全く変わっていません。このような日韓間の合意についてぜひ理解をしていただきたい。こういう重要なことを忘れていたのでもう一回繰り返します。

 

 

国連委で慰安婦報道言及、外務省に申し入れ 朝日新聞社

2016年2月19日05時02分 朝日新聞

 スイス・ジュネーブで16日に開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査で、外務省の杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題について発言した際に朝日新聞の過去の報道などに触れ、「国際社会に大きな影響を与えた」などと述べた。朝日新聞東京本社報道局は18日、外務省に対し、「根拠を示さない発言」などとして遺憾であると文書で申し入れた。

第三者委員会報告書の全文(PDF)はこちら
杉山氏は、朝鮮で慰安婦を強制連行したと証言した故・吉田清治氏について「虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表した」と説明し、「(吉田氏の)書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」と述べた。

 さらに、慰安婦の人数について、「20万人という数字も具体的に裏付けのない数字」とし、「20万人との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると(朝日新聞が)自ら認めているのであります」などと発言した。

 慰安婦に関する報道をめぐっては、朝日新聞社は2014年8月、吉田氏の証言を虚偽と判断し、関連の記事を取り消した。

 申入書では、国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。

 また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。

 川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした。

 ◇

 朝日新聞による慰安婦報道を検証する「第三者委員会」が2014年12月22日に公表した報告書で、「国際社会に与えた影響」については三つの報告が併記された。このうち吉田清治氏の証言(吉田証言)をめぐる報道について触れた主な部分は以下の通り。

 岡本行夫委員、北岡伸一委員

 「(日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、という)イメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」

 波多野澄雄委員

 「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」

 林香里委員

 「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」

 

2016年2月18日(木) しんぶん赤旗

日本政府「慰安婦」強制連行を否定 国連委で強い批判 女性差別の撤廃を審議

 【ジュネーブ=玉田文子】国連女性差別撤廃委員会による日本報告に対する審議が16日、ジュネーブの国連欧州本部でおこなわれ、日本軍「慰安婦」問題に対する日本政府の対応が厳しく批判されました。

 政府代表団の杉山晋輔外務審議官は「慰安婦」問題について、「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明しました。さらに、「性奴隷という表現は事実に反する」とのべるとともに、昨年12月の日韓合意で「最終的かつ不可逆的に解決した」などと主張しました。

 これに対し委員は、「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」と強烈な不満を突きつけました。

 女性差別撤廃委員会は日本政府に対し1994年以来繰り返し、日本軍「慰安婦」問題の解決を勧告しています。

 ところが政府は、第7、8回報告で「本条約を締結(1985年)する以前に生じた問題に対して遡(さかのぼ)って適用されないため、慰安婦問題を本条約の実施状況の報告において取り上げることは適切でない」として、開き直ってきました。

「国際社会で 通用しない」

 審議を傍聴した日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長の話

 委員会は、日本軍「慰安婦」問題について被害者への補償、加害者処罰、教育を含む永続的な解決を繰り返し勧告してきました。重大な人権侵害であり、今も続いている紛争下での性暴力を根絶する上で、この問題の解決が欠かせないという立場なのです。日本政府の対応は、人権問題だという認識がまったく欠如していることを示すものであり、国際社会では通用するものではありません。

 

異例の自費出版で大反響の『外務省犯罪黒書』。こんな人物が外交のトップに上り詰める国でいいのか? 2016年02月02日 17時00分提供:週プレNEWS

今から14年前の2002年、当時、自民党の衆議院議院運営委員長で現在、新党大地代表の鈴木宗男氏と、同じく当時、外務省国際情報局主任分析官で現在、ベストセラー作家の佐藤優氏が“国家の罠(わな)”にはめられた。 
東京地検特捜部が動き、犯罪をでっち上げられて逮捕・起訴されたのだ。いわゆる「鈴木宗男事件」である。裁判では、鈴木氏には懲役2年・追徴金1100万円、佐藤氏には懲役2年6月・執行猶予4年が言い渡された。 
普通ならばここで鈴木氏は政界引退、佐藤氏も外務省を辞職し姿を消すところだが、ふたりは不死鳥のごとくよみがえった。 
このふたりには、「絶対に許されざる者たち」がいる。“国家の罠”の裏で暗躍した外務省極悪官僚の面々だ。本来、外交で発揮すべき交渉力、情報戦術を彼らは鈴木宗男事件に投入し、ふたりを闇に葬ろうとした。 
しかし、鈴木氏は国会議員の武器である質問主意書で、佐藤氏は作家としてペンの力で外務省の闇をあぶり出し、彼らに対抗した。『外務省犯罪黒書』は10年前に月刊誌上で彼らが繰り広げた闘いの記録を、今あらためて一冊にまとめたものだ。 
*** 
―この本で外務省の悪事をふり返ると、本当にとんでもない役所だなと実感します。 
順番に見ていくと、モロッコで泥酔運転をして、現地人をひき殺した岡本治男氏。彼は免職にならないどころか、外交特権を使って罪を逃れ、わずか停職1ヵ月の処分で、その後、駐ドミニカ共和国特命全権大使に出世してます。しかも外務省は鈴木先生の質問主意書に対する回答で「この処分に関する当時の判断は、妥当であったと考える」と言っている。 
また、別の章では外国の大使・公使になると、とんでもない金を蓄財できることが明らかにされてます。 
大使になると給料の他にいろいろと手当がつきます。例えば10年前のモスクワで3年間大使をやると、非課税・精算不要の在勤基本手当だけで約3千万円が支給されるとあります。この調子で3ヵ国ぐらいの大使をやれば、国内外に3軒の高級マンションが買える金が貯まるとか。 
他にも、自分たちが使ってきたエージェントを簡単に見捨てた話とか、在ロシア日本大使館を舞台にした「ルーブル委員会」なる裏金組織があったこと、1972年の沖縄返還の密約についてのウソを絶対に認めないことなども暴露されています。 
そして、この本のある意味、主役である杉山晋輔外務審議官。彼は93年8月から95年1月のわずか1年半の間に外務省機密費2億円を使い込んだ。しかもその使い道は、銀座の高級クラブでの豪遊のみならず、料亭では全裸で肛門にろうそくを立てて点火し、座敷を這(は)い回る高等変態プレイまで含まれているとあります。 
佐藤さんがこの本を今、自費出版という形ででも発表しようとされた理由のひとつが、悪の大本命・杉山審議官がもうすぐ外務次官に就任しそうだからということです。ちなみに今、この本はどれくらい売れているんですか? 
佐藤 自費出版だと普通売れるのは数百部くらいでしょうが、おかげさまで1万部くらい出ているようです。 
鈴木 そりゃすごいですね。 
佐藤 杉山さんが最近、「鈴木先生の一件は、自分は本当はやりたくなかった。でも、当時の竹内事務次官にものすごい調子で言われ、生き残るためには仕方なかった」と言ってるそうなんですが、この話は鈴木先生の耳にも聞こえてきてますか? 
鈴木 きてますね。組織の一員として、上の意向に従わざるを得ませんでした。私の本意ではなかったんです、とね。 
―金は使い込んだ上に、変態プレイも大好きな人物が外務省のトップに上り詰める。それも驚きですが、そんな人が本当に北方領土交渉なんかできるんでしょうか? 
佐藤 義理を欠き、人情を欠き、平気で恥をかいてでも自分の出世を目指していくのが杉山さんです。今、安倍総理はサミット前の5月に訪ロしようと考えてます。それが実現しないと自分の出世はないと考えたら、杉山さんは一生懸命になるでしょう。 
―ロシア側はそんな杉山さんの性格を知っている? 
佐藤 よくわかっています。だから杉山さんが「国際情勢、日ロの戦略的提携」とか言っても、絶対に信用しないでしょうね(笑)。 
安倍総理の訪ロが実現しないと、自分の地位が危うくなるから命懸けでやる男であること、そして安倍総理の訪ロを実現させるためなら日本にとって不利な条件であっても譲歩するからくみしやすいこと、この2点をロシア側は見極めてるでしょう。 
―すると、日ロ関係が動くかもしれない? おふたりはよく「外交は人だ」とおっしゃってますが、それが“杉山外交”にも表れるんですね? 
佐藤 そうです。類は友を呼ぶで、ロシア側にも杉山系の人間がたくさん出てきます。時代劇の悪代官のところに悪徳商人が来て「お殿様、ここのところはこれで」という感じで交渉は進みます。 
今、化石燃料が安くなっているからロシア経済は大変です。しかし、中東で有事があれば、原油価格は一気に30倍ぐらいに跳ね上がる。そういう情勢なので、安定的・多角的に油を入れられるようにしなければならない日本はロシアと安値で長期契約ができるチャンス。日本にとってこのカードは外交上すごく有効なんですが、外務省はそんなこと全く考えていないでしょうね…。 
―この本にも書かれていますが、10年前の連載時から佐藤さんは外務省改革案を出されていました。それは10年たってどれくらい実現してるんでしょうか? 
佐藤 来年から入省する新人にTOEFLを受けさせる点は進歩しました。外交官試験を廃止したので、私がいた頃に比べて、語学力が弱い人間が大量に入ってきましたから。 
―10年前の段階でも外務省の能力が落ちているとありますが、今はどうですか? 
佐藤 日本外交で過去10年、例えば、国連常任理事国入りなど成功した事例は何かありますか? 成功したのは大使館の数が増えたことだけです。 
―10年前は、大使になると都内にマンションを3軒買えるほど金が貯まるとありました。これは? 
佐藤 10年前は3軒買えたのが今は1軒になりました。鈴木先生が質問主意書で、大使手当の積算根拠を聞いたりしたので、あまりデタラメができなくなりましたから。外務官僚からすると寂しい時代になりました。 
―鈴木先生の質問主意書爆撃と、佐藤さんのメディア暴露戦略が効果を挙げたわけですね。 
ところで、以前、佐藤さんは杉山審議官が次官になると、「とりあえず日本外交は止まる。再び動くのは、杉山さんが駐米大使になろうとして画策する時だろう」とおっしゃってました。杉山さんが外務省次官になるのがほぼ確定といわれている今、日本外交は何か動くんでしょうか? 
佐藤 それはひと昔前までのトップ。今はその上に日本版の国家安全保障局(NSC)の局長職がありますからね。駐米大使はアメリカの国務長官、国防長官にいつでも会えるわけじゃない。しかし、NSC局長はいつでも会える。さらにNSC局長は常に官邸にいますから、杉山さんはNSC局長になりたがるでしょう。 
鈴木 NSC局長と駐米大使なら、NSCを狙うでしょうね。総理の信頼があれば、これは大変な力のあるポストですから。 
佐藤 でも、杉山さん、本当に次官になれますかね? 
鈴木 私はこの本が出た関係で、賢明な判断をされる人が出てくると思いますね(笑)。 
(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博) 
●佐藤 優(さとう・まさる)
1960年生まれ、東京都出身。外務省時代に鈴木宗男氏と知り合い、鈴木氏同様、国策捜査で逮捕・起訴される。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として活躍。近著は『資本主義の極意』『大世界史』(池上彰氏との共著) 
●鈴木宗男(すずき・むねお)
1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。2002年に国策捜査で逮捕・起訴、2010年に収監される。現在は2017年4月公民権停止満了後の立候補、議員復活に向け、全国行脚中! 近著に『ムネオの遺言』『外交の大問題』(佐藤氏との共著)がある 
■佐藤氏が月刊『現代』2006年6月号から2007年1月号にかけて連載していた「外務省『犯罪白書』」と、鈴木氏の『闇権力の執行人』の第4章を合わせてまとめた一冊。この数十年の外務省の黒歴史、外務省の体質が赤裸々に描かれている(講談社エディトリアル、1600円+税) 

 

 

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杉山外務省審議官が国連の委員会で「慰安婦」強制連行はねつ造と主張するも、性奴隷でない説明はできず。

2016-02-20 05:34 Everyone says I love you !

 

 安倍政権は政府代表の杉山晋輔外務審議官を2016年2月16日にジュネーブで開かれた国連の女子差別撤廃委員会に出席させ、「慰安婦」問題について、軍や官憲による強制連行を裏付ける資料がないとか、韓国の済州島で強制連行があったとする吉田清治氏の証言を

「捏造」「完全に想像の産物」

と述べさせ、証言を繰り返し報道した朝日新聞が

「誤りを認め謝罪した」

ことを説明させました。

 とにかく、杉山審議官の話の中にはこれでもかというくらい「朝日新聞が」「朝日新聞が」という話が出てきます。

追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

 

 

 外務省によると、政府が国連で吉田証言や朝日新聞の謝罪を説明するのは初めてで、産経新聞や保守論壇は画期的なことだとほめたたえています。

 しかし、慰安婦を「強制連行された軍用性奴隷」と断定した国連人権委員会のクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告書は、吉田証言を根拠の一つにしたにすぎず、吉田証言一つが覆ったところで、各報告書の全体の価値が損なわれるわけではありません。

 さらに、前述のように、杉山審議官は朝日新聞が誤った報道をしたから国際的な誤解を招いたと再三言うのですが、朝日新聞にそんな国際的な影響力なんてありませんよ(苦笑)。

 また、1991年当時は朝日新聞だけでなく、どの新聞も「慰安婦」が強制連行されたと報道していましたし、当の産経新聞など1993年になってもまだ「慰安婦」は強制連行されたという記事を書いていました。

 なんでも朝日新聞におっかぶせようとする杉山氏は、産経新聞の特派員のようです。

参考

2015.8.30 06:00産経新聞 【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(2)】 「『強制連行』僕は使っていない」

産経新聞、内閣法制局長官が「臨時国会召集しなくても違憲でない」と答弁している、と「誤報」。

 

杉山審議官はこの委員会で
「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」
と述べたのですが、資料が見つからないということと、強制連行がなかったということとは全く違います。 また、資料がなかったということと、吉田証言が虚偽だったという2点を強調して、強制連行がなかったと結論付けるのは論理的ではなく、目くらましにすぎません。 そもそも、たとえば誘拐事件で、被害者が誘拐されたと言っているのに、加害者が誘拐したということを文書に記録して残していないからと言って、誘拐の事実はなかったと事実認定したら、裁判官としては失格です。加害者側が記録を残さず、もしくは記録を証拠隠滅するのは当然のことです。
杉山審議官の弁明に対して、女性差別撤廃委員会の委員が
「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」
と痛烈に批判したのは当然です。
安倍政権は「慰安婦」に関して、国連の委員会という場に、歴史的事実を自分に都合のいいように捏造する歴史修正主義の立場に立つことを自白しに行ったようなもので、国際社会に対する恥さらしです。

そして、杉山審議官は、「慰安婦」が性奴隷だったという事実はないと二回言っているのですが、二度ともなぜそう言えるのか、「慰安婦」の実態がなぜ性奴隷ではないのか、まったく理由を述べていません。言えなかったのです。
それはそうでしょう。
「慰安婦」には、兵士に対する性奉仕を拒絶する自由はなく、一日何十人もセックスを強要され、もちろん慰安所から去る自由などなかったのですから。というか、朝鮮半島から遠く離れた中国大陸や南方戦線に連れ去られているのですから、家に帰れるわけがありません。 この強制性を性奴隷と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。
まさか、国連の委員会で、日本の極右が言うように、「慰安婦」は高給取りで、セックスを拒絶するのも家に帰るのも自由だった、などとは外務省としてもさすがに恥ずかしくて言えなかったのでしょう。
そして、これは杉山審議官も認めざるを得なかったように、、この「慰安婦」制度と慰安所には軍が関与しており、
「慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たった」
のです。つまり、「慰安婦」にセックスを強制し、性奴隷とした責任は日本軍にあるのです。

そうであるにもかかわらず、外務省の審議官が女性の権利を扱う国連の女性差別撤廃委員会にのこのこと出かけて行って、「慰安婦」制度に対して誤解があります、それは朝日新聞のせいなんです、などと政府の代表として言うことが、日本に対する評価をどれだけ下げるものか、安倍政権にはわからないのでしょうか。
だから、これまでの保守党政権でも、そういう馬鹿なことまではしなかったのです。
こんなことをしてしまう安倍政権にも、これをもてはやす日本の保守メディアにも、本当にうんざりです。
  カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著)より      

少年事件を起こした子どもたちには、悪いことをしたのに反省せず、それをごまかすのはさらに恥ずかしいことだと、よく言って聞かせるんですけどねえ。

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2016.2.17 10:00 【慰安婦問題】 「批判は事実に反する」国連委で 遅まきながら政府が反転攻勢 河野談話の重荷なお  ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=16日(共同)

 「受け入れられない」

 女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題に関する杉山晋輔外務審議官の発言後、中国出身の女性委員が声を上げた。「誰も70年前の出来事を否定したり、変えたりすることはできない」

 これに対し、杉山氏は 「日本政府が例えば歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も取っていないというご批判は事実に反すると言わざるを得ない」と穏やかな口調ながらも強く反論した。

 しかし、別の委員からも、日本は1993(平成5)年に慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を出しているのにもかかわらず、なぜ今になって否定するのかといった疑問の声が上がった。

 慰安婦問題については、政府の責任を追及する日本人活動家が1990年代から国連で歪曲(わいきょく)した事実関係を流布し、定着させてきた。そうした中で河野談話は、慰安婦を「性奴隷」とする認識を定着させた96年のクマラスワミ報告書につながった。当時の日本政府も同報告書の反論文を準備したが、政治的な配慮から国連に提出せず、事実関係を国際社会に説明する絶好の機会を自ら逃している。

 今回の女子差別撤廃委員会で、日本政府が国連を舞台とした“歴史戦”で反転攻勢に出たことは、遅きに失した感があるものの評価できる。政府は河野談話を堅持しながら事実関係を説明するという“重荷”を背負いながら、あらゆる機会を利用して事実関係の説明を続けていかなければならない。(ジュネーブ 田北真樹子)


国連女性差別撤廃委員会における杉山審議官の主な発言

2016年2月19日05時03分 朝日新聞

 国連の女性差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題をめぐる杉山晋輔外務審議官の発言は以下の通り。

 ◇

 冒頭発言の中で触れた部分

 長年にわたり日韓両国間の懸案事項であった慰安婦問題に関しては、昨年12月28日に日韓外相会談が行われ、この問題は両国の間で「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。現在、両国それぞれが合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであります。

 日本政府としては20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、リードしていく考えであります。

 本件については一言付け加えさせていただきます。そもそも女子差別撤廃条約は日本が同条約を締結した1985年ですが、締結以前に生じた問題に対してさかのぼって適用はされないということでありますから、慰安婦問題を当条約の実施状況の報告において取り上げることは、適切ではないというのが日本政府の基本的な考え方だ、ということを一言付け加えさせていただきます。

 委員との質疑応答での発言①

 これまで申し上げたことに加えて、次のとおり主要な点、重要ですので口頭で申し上げます。

 まず書面でも回答したとおり、日本政府は日韓間で慰安婦問題が政治・外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行いました。しかしながら日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行というものを確認するもの、確認できるものはありませんでした。

 慰安婦が強制連行されたという見方がひろく流布された原因は、1983年、故人になりました吉田清治氏が「私の戦争犯罪」という本、刊行物の中で、吉田清治氏自らが「日本軍の命令で韓国のチェジュ島において大勢の女性狩りをした」という虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表したためであります。この書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により、事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えました。しかしながら、この書物の内容は後に複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されています。

 それが証拠にこの朝日新聞自身も、2014年8月5日および6日をふくめ、その後9月にも累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りをみとめ、正式にこの点につき読者に謝罪をしています。また、「20万人」という数字も具体的な裏付けのない数字であります。朝日新聞は2014年8月5日付の記事で、女子挺身(ていしん)隊とは戦時下の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で女性を労働力として動員するために組織された女子勤労挺身隊を指す、目的は労働力の利用であり、将兵の性の相手をさせられた慰安婦とは別だ、としたうえで、「20万人」との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めているのであります。

 なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。

 日韓両政府間では、慰安婦問題の早期妥結に向けて真剣に協議をおこなってきたところでありますが、先ほど申し上げたように、昨年12月28日にソウルにて日韓外相会談が開催され、日韓外相間で本件につき妥結にいたり、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。同日午後、日韓首脳電話会談が行われ、両首脳はこの合意にいたったことを確認し、評価した次第であります。冒頭申し上げましたように、このときの日韓合意を表す資料は書面の回答に添付されておりますので、ここでその内容の詳細をくりかえしてご説明することはしません。日本政府はこれまでもアジア女性基金などを通じて本問題に真剣に取り組んでまいりました。今後もしたがって韓国政府が元慰安婦の方の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算10億円程度でありますが、資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととなっております。

 現在、日韓両国政府はそれぞれ、合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであり、この点は現時点でもまったく変わりはありません。このような日韓両国政府の努力につき、国際社会のご理解をいただけると大変ありがたく思います。ちなみに、潘基文国連事務総長を含め、国際社会は日韓両国が合意に達したことに歓迎の意を表明していると承知をしています。

 もう一点だけ、最後に付け加えます。いまご質問いただいたホフマイスター判事は、他の国の例もお挙げになりました。先の大戦に関わる賠償ならび財産及び請求権の問題について、ご指摘になられた点も含め、日本政府は米仏等45カ国との間で締結したサンフランシスコ平和条約、それだけではなくて、その他の二国間の条約など、これは日韓請求権経済協力協定も含めますし、日中の処理の仕方も含みます。こういったものによって、ここでそれいちいち法律的に説明することはしませんが、誠実に対応してきており、これらとの条約などの当事者との間では、個人の請求権の問題を含めて、法的に解決済みだ、というのが日本政府の一貫した立場です。

 最後に一言。にもかかわらず、日本政府はアジア女性基金を構築し、我が国の予算からの拠出と一般からの募金によって一定の活動をしたということも、説明をすると、きちんと説明するためには長くなりますので、ここでアジアの女性基金についての詳細は説明しませんが、おそらくここにおられる各委員の皆様はその内容をよくご存じと思いますので、その点だけ付言をして私の答えにさせていただきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言②

 あのゾウ委員からご指摘された点についていくつかお答えをします。

 まず第一に、さきほど内容については、あの、「すでにお配りしてあるので詳しく説明しません」と申し上げましたが、昨年の12月28日に岸田大臣と尹長官の間で、「最終的かつ不可逆的」に解決されていることは文書の回答の添付の文書を見ていただければ、明確だと思います。従って、日本政府がこの問題について、例えば、歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も執っていないというご批判は事実に反するといわざるをえません。

 ちなみに、さきほど、いわゆる強制ということは、我々が調査した中では、裏付けられなかった、と申し上げましたが、この岸田大臣の合意のなかには、慰安婦問題は当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している、えー、ちょっと飛ばしますが、これらすべての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する、そして額は10億円程度ということですが、日本の予算の措置により、財団を設立する。あの、それからさらにいろんな説明しなきゃいけないんですが、中身について時間がないのでそれ以上はいいません。

 ここでいう、当時の軍の関与というのは、慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たったということであるということは、従来から認めていることであって、私がさっき申し上げたことは、そのこととともに、たとえば「20万人」という数字は完全に間違いだと、本人っていうか、出した新聞社が認めているとか、そういうことを明確にするために申し上げたわけだし。それから「性奴隷」という表現も事実に反するということをもう一度ここで繰り返しておきたい。

 ちなみに、書面で回答に添付したこの両外相の共同発表の文書の中にも「性奴隷」という言葉は1カ所も見つからないのも事実であります。従って、今、ゾウ委員からご指摘を受けましたが、非常に残念なことに、ゾウ委員のご指摘は、いずれの点においても、日本政府として受け入れられるものでないだけではなくて、事実に反することを発言されたという風に、申し上げざるを、残念ながら、申し上げざるを得ないということを明確に発言をしておきたいと思います。

 委員との質疑応答での発言③

 ほんの数十秒。さきほど一つ大事なことを言うのを忘れたのでいいます。

 あの、すでに先ほど申し上げたとおり、委員のお手元に届けてある日韓の合意、これは日韓間の合意であって、これを現在、日韓両国政府はそれぞれ誠実に実行に移すべく、取り組んでいるところであり、この点は全く変わっていません。このような日韓間の合意についてぜひ理解をしていただきたい。こういう重要なことを忘れていたのでもう一回繰り返します。

 

 

国連委で慰安婦報道言及、外務省に申し入れ 朝日新聞社

2016年2月19日05時02分 朝日新聞

 スイス・ジュネーブで16日に開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査で、外務省の杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題について発言した際に朝日新聞の過去の報道などに触れ、「国際社会に大きな影響を与えた」などと述べた。朝日新聞東京本社報道局は18日、外務省に対し、「根拠を示さない発言」などとして遺憾であると文書で申し入れた。

第三者委員会報告書の全文(PDF)はこちら
杉山氏は、朝鮮で慰安婦を強制連行したと証言した故・吉田清治氏について「虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表した」と説明し、「(吉田氏の)書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」と述べた。

 さらに、慰安婦の人数について、「20万人という数字も具体的に裏付けのない数字」とし、「20万人との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると(朝日新聞が)自ら認めているのであります」などと発言した。

 慰安婦に関する報道をめぐっては、朝日新聞社は2014年8月、吉田氏の証言を虚偽と判断し、関連の記事を取り消した。

 申入書では、国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。

 また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。

 川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした。

 ◇

 朝日新聞による慰安婦報道を検証する「第三者委員会」が2014年12月22日に公表した報告書で、「国際社会に与えた影響」については三つの報告が併記された。このうち吉田清治氏の証言(吉田証言)をめぐる報道について触れた主な部分は以下の通り。

 岡本行夫委員、北岡伸一委員

 「(日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、という)イメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」

 波多野澄雄委員

 「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」

 林香里委員

 「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」

 

2016年2月18日(木) しんぶん赤旗

日本政府「慰安婦」強制連行を否定 国連委で強い批判 女性差別の撤廃を審議

 【ジュネーブ=玉田文子】国連女性差別撤廃委員会による日本報告に対する審議が16日、ジュネーブの国連欧州本部でおこなわれ、日本軍「慰安婦」問題に対する日本政府の対応が厳しく批判されました。

 政府代表団の杉山晋輔外務審議官は「慰安婦」問題について、「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明しました。さらに、「性奴隷という表現は事実に反する」とのべるとともに、昨年12月の日韓合意で「最終的かつ不可逆的に解決した」などと主張しました。

 これに対し委員は、「非常に不満で許容できない。だれも歴史を変えることはできないし、逆行することもできない。問題を否定する一方で、日韓合意をすすめる政府の態度は矛盾している。問題がないのであればなぜ、合意する必要があったのか」と強烈な不満を突きつけました。

 女性差別撤廃委員会は日本政府に対し1994年以来繰り返し、日本軍「慰安婦」問題の解決を勧告しています。

 ところが政府は、第7、8回報告で「本条約を締結(1985年)する以前に生じた問題に対して遡(さかのぼ)って適用されないため、慰安婦問題を本条約の実施状況の報告において取り上げることは適切でない」として、開き直ってきました。

「国際社会で 通用しない」

 審議を傍聴した日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長の話

 委員会は、日本軍「慰安婦」問題について被害者への補償、加害者処罰、教育を含む永続的な解決を繰り返し勧告してきました。重大な人権侵害であり、今も続いている紛争下での性暴力を根絶する上で、この問題の解決が欠かせないという立場なのです。日本政府の対応は、人権問題だという認識がまったく欠如していることを示すものであり、国際社会では通用するものではありません。

 

異例の自費出版で大反響の『外務省犯罪黒書』。こんな人物が外交のトップに上り詰める国でいいのか? 2016年02月02日 17時00分提供:週プレNEWS

今から14年前の2002年、当時、自民党の衆議院議院運営委員長で現在、新党大地代表の鈴木宗男氏と、同じく当時、外務省国際情報局主任分析官で現在、ベストセラー作家の佐藤優氏が“国家の罠(わな)”にはめられた。 
東京地検特捜部が動き、犯罪をでっち上げられて逮捕・起訴されたのだ。いわゆる「鈴木宗男事件」である。裁判では、鈴木氏には懲役2年・追徴金1100万円、佐藤氏には懲役2年6月・執行猶予4年が言い渡された。 
普通ならばここで鈴木氏は政界引退、佐藤氏も外務省を辞職し姿を消すところだが、ふたりは不死鳥のごとくよみがえった。 
このふたりには、「絶対に許されざる者たち」がいる。“国家の罠”の裏で暗躍した外務省極悪官僚の面々だ。本来、外交で発揮すべき交渉力、情報戦術を彼らは鈴木宗男事件に投入し、ふたりを闇に葬ろうとした。 
しかし、鈴木氏は国会議員の武器である質問主意書で、佐藤氏は作家としてペンの力で外務省の闇をあぶり出し、彼らに対抗した。『外務省犯罪黒書』は10年前に月刊誌上で彼らが繰り広げた闘いの記録を、今あらためて一冊にまとめたものだ。 
*** 
―この本で外務省の悪事をふり返ると、本当にとんでもない役所だなと実感します。 
順番に見ていくと、モロッコで泥酔運転をして、現地人をひき殺した岡本治男氏。彼は免職にならないどころか、外交特権を使って罪を逃れ、わずか停職1ヵ月の処分で、その後、駐ドミニカ共和国特命全権大使に出世してます。しかも外務省は鈴木先生の質問主意書に対する回答で「この処分に関する当時の判断は、妥当であったと考える」と言っている。 
また、別の章では外国の大使・公使になると、とんでもない金を蓄財できることが明らかにされてます。 
大使になると給料の他にいろいろと手当がつきます。例えば10年前のモスクワで3年間大使をやると、非課税・精算不要の在勤基本手当だけで約3千万円が支給されるとあります。この調子で3ヵ国ぐらいの大使をやれば、国内外に3軒の高級マンションが買える金が貯まるとか。 
他にも、自分たちが使ってきたエージェントを簡単に見捨てた話とか、在ロシア日本大使館を舞台にした「ルーブル委員会」なる裏金組織があったこと、1972年の沖縄返還の密約についてのウソを絶対に認めないことなども暴露されています。 
そして、この本のある意味、主役である杉山晋輔外務審議官。彼は93年8月から95年1月のわずか1年半の間に外務省機密費2億円を使い込んだ。しかもその使い道は、銀座の高級クラブでの豪遊のみならず、料亭では全裸で肛門にろうそくを立てて点火し、座敷を這(は)い回る高等変態プレイまで含まれているとあります。 
佐藤さんがこの本を今、自費出版という形ででも発表しようとされた理由のひとつが、悪の大本命・杉山審議官がもうすぐ外務次官に就任しそうだからということです。ちなみに今、この本はどれくらい売れているんですか? 
佐藤 自費出版だと普通売れるのは数百部くらいでしょうが、おかげさまで1万部くらい出ているようです。 
鈴木 そりゃすごいですね。 
佐藤 杉山さんが最近、「鈴木先生の一件は、自分は本当はやりたくなかった。でも、当時の竹内事務次官にものすごい調子で言われ、生き残るためには仕方なかった」と言ってるそうなんですが、この話は鈴木先生の耳にも聞こえてきてますか? 
鈴木 きてますね。組織の一員として、上の意向に従わざるを得ませんでした。私の本意ではなかったんです、とね。 
―金は使い込んだ上に、変態プレイも大好きな人物が外務省のトップに上り詰める。それも驚きですが、そんな人が本当に北方領土交渉なんかできるんでしょうか? 
佐藤 義理を欠き、人情を欠き、平気で恥をかいてでも自分の出世を目指していくのが杉山さんです。今、安倍総理はサミット前の5月に訪ロしようと考えてます。それが実現しないと自分の出世はないと考えたら、杉山さんは一生懸命になるでしょう。 
―ロシア側はそんな杉山さんの性格を知っている? 
佐藤 よくわかっています。だから杉山さんが「国際情勢、日ロの戦略的提携」とか言っても、絶対に信用しないでしょうね(笑)。 
安倍総理の訪ロが実現しないと、自分の地位が危うくなるから命懸けでやる男であること、そして安倍総理の訪ロを実現させるためなら日本にとって不利な条件であっても譲歩するからくみしやすいこと、この2点をロシア側は見極めてるでしょう。 
―すると、日ロ関係が動くかもしれない? おふたりはよく「外交は人だ」とおっしゃってますが、それが“杉山外交”にも表れるんですね? 
佐藤 そうです。類は友を呼ぶで、ロシア側にも杉山系の人間がたくさん出てきます。時代劇の悪代官のところに悪徳商人が来て「お殿様、ここのところはこれで」という感じで交渉は進みます。 
今、化石燃料が安くなっているからロシア経済は大変です。しかし、中東で有事があれば、原油価格は一気に30倍ぐらいに跳ね上がる。そういう情勢なので、安定的・多角的に油を入れられるようにしなければならない日本はロシアと安値で長期契約ができるチャンス。日本にとってこのカードは外交上すごく有効なんですが、外務省はそんなこと全く考えていないでしょうね…。 
―この本にも書かれていますが、10年前の連載時から佐藤さんは外務省改革案を出されていました。それは10年たってどれくらい実現してるんでしょうか? 
佐藤 来年から入省する新人にTOEFLを受けさせる点は進歩しました。外交官試験を廃止したので、私がいた頃に比べて、語学力が弱い人間が大量に入ってきましたから。 
―10年前の段階でも外務省の能力が落ちているとありますが、今はどうですか? 
佐藤 日本外交で過去10年、例えば、国連常任理事国入りなど成功した事例は何かありますか? 成功したのは大使館の数が増えたことだけです。 
―10年前は、大使になると都内にマンションを3軒買えるほど金が貯まるとありました。これは? 
佐藤 10年前は3軒買えたのが今は1軒になりました。鈴木先生が質問主意書で、大使手当の積算根拠を聞いたりしたので、あまりデタラメができなくなりましたから。外務官僚からすると寂しい時代になりました。 
―鈴木先生の質問主意書爆撃と、佐藤さんのメディア暴露戦略が効果を挙げたわけですね。 
ところで、以前、佐藤さんは杉山審議官が次官になると、「とりあえず日本外交は止まる。再び動くのは、杉山さんが駐米大使になろうとして画策する時だろう」とおっしゃってました。杉山さんが外務省次官になるのがほぼ確定といわれている今、日本外交は何か動くんでしょうか? 
佐藤 それはひと昔前までのトップ。今はその上に日本版の国家安全保障局(NSC)の局長職がありますからね。駐米大使はアメリカの国務長官、国防長官にいつでも会えるわけじゃない。しかし、NSC局長はいつでも会える。さらにNSC局長は常に官邸にいますから、杉山さんはNSC局長になりたがるでしょう。 
鈴木 NSC局長と駐米大使なら、NSCを狙うでしょうね。総理の信頼があれば、これは大変な力のあるポストですから。 
佐藤 でも、杉山さん、本当に次官になれますかね? 
鈴木 私はこの本が出た関係で、賢明な判断をされる人が出てくると思いますね(笑)。 
(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博) 
●佐藤 優(さとう・まさる)
1960年生まれ、東京都出身。外務省時代に鈴木宗男氏と知り合い、鈴木氏同様、国策捜査で逮捕・起訴される。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として活躍。近著は『資本主義の極意』『大世界史』(池上彰氏との共著) 
●鈴木宗男(すずき・むねお)
1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。2002年に国策捜査で逮捕・起訴、2010年に収監される。現在は2017年4月公民権停止満了後の立候補、議員復活に向け、全国行脚中! 近著に『ムネオの遺言』『外交の大問題』(佐藤氏との共著)がある 
■佐藤氏が月刊『現代』2006年6月号から2007年1月号にかけて連載していた「外務省『犯罪白書』」と、鈴木氏の『闇権力の執行人』の第4章を合わせてまとめた一冊。この数十年の外務省の黒歴史、外務省の体質が赤裸々に描かれている(講談社エディトリアル、1600円+税) 

 

 

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反戦漫画を描きながら「反戦」を言わない水木しげるさんと、「美しい国」を唱える人たちの違い。

2015-12-10 10:54 Everyone says I love you !

 

コミック昭和史 1~最新巻(文庫版)(講談社文庫) [マーケットプレイス コミックセット] 水木しげる著 講談社

中国人民のねばりづよい抵抗にあい、日中戦争は膠着状態におちいった。撤退もままならぬ中で、日本の軍部は太平洋に眼をむけた。石油資源を確保するためである。大東亜共栄圏の美名のもとに作戦が練られる。開戦を避ける日米交渉も決裂。昭和16年12月8日、真珠湾に奇襲をかけ、ついに太平洋戦争へ突入。

 

 

 さきほど、マガジン9条に載った雨宮処凜さんの記事

第358回水木しげるさんの死〜なぜ「戦争反対とは決して言いません」だったのか。の巻

を読んで、なぜ、私が安倍首相や橋下市長の政治のやり方に反対するのか、思うところがありました。

 水木さんの死を悼んで、水木さんの8ページの漫画「従軍慰安婦」をご紹介させていただいた記事は、おかげさまでうちの小さな記事の100本分くらいのアクセスを集めました。

追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著) 小学館

より。

 

 

 この漫画を読んでいたいただいたり、この記事に載せた多くの反戦漫画を読んでいただいたらお分かりになるように、水木しげるさんは、決して反戦漫画を描かなかったわけではありません。

 それどころか、日本で最も反戦漫画を描いた漫画家の一人だといえるでしょう。

 しかし、その水木さんが、インタビューなどで反戦を声高に唱えなかったことについて、雨宮さんはありきたりのようですが

『氏が「戦争反対」という言葉を決して言わない理由が、なんとなくだけど、わかった気がした。

 「戦争反対」という、ある意味でありきたりな言葉では、とても言い尽くせない思いがあったのではないだろうか。

 たった四文字の漢字になどとても託せないほどの、経験していない者には決してわからない気持ちが、氏にその言葉を吐かせなかったのではないだろうか。』

と書いておられます。

 それが証拠に、水木さんは

《『総員玉砕せよ!』のあとがきで、以下のように書いている。

ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りが込み上げてきて仕方がない。多分戦死者の霊がそうさせるのではないかと思う。》

と。

総員玉砕せよ! (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。

 

 

 ここが、百田直樹氏が特攻隊員を描いた「永遠のゼロ」などとの決定的な違いなのでしょう。

 百田直樹氏の作品は、むしろ唱えているんです。

 しかし、特攻隊員の死を美化してしまっている。

 宮崎駿氏がそれを、「またばかなことを書いている奴がいる」と激怒していましたが、戦争で死んだ人を「尊崇する」と称して美化することは、馬鹿にすることに近いのです。

 安倍首相の戦後レジームを破壊して「美しい国を取り戻す」も同様です。

 戦前だって人間の営みがあったのですから、もちろん何もかも真っ黒だったわけじゃない。

 しかし、日本の植民地支配や侵略をありのままに学ぶのは自虐史観だとして、「慰安婦」はただの売春婦だ、南京大虐殺はなかったなどと歴史を捻じ曲げてしまったら、それは戦争で死んでいったすべての人を馬鹿にし、踏みにじることになるのです。

野坂昭如氏は、昭和42年に発表した「火垂るの墓」を含む二作品で翌43年直木賞を受賞。

アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫) 野坂昭如 著 新潮社

奇しくも、本日亡くなられた野坂昭如氏が原作を描かれた火垂るの墓を映画化した高畑勲監督(宮崎駿監督の盟友)も、この映画は反戦の役には立たないのではないかと書かれた。

絶対ハズレなし 超お勧め映画! 火垂るの墓 「4歳と14歳で生きようと思った・・・」

 

 

 しかし、私がアベ政治や橋下維新の政治を思い出したのはそこではありません。

 今の日本経済、だれが首相として担当しても難しいのはわかるのです。

 だって、財政赤字でお金がないのに、少子高齢化の中、福祉を実現しないといけない。非常に困難です。

 そんな時に、

「そうだ、日銀がお札をどんどん刷ればいい」

などという「解決策」を持ち出すことが、どれだけ罪深いことか。

 また、大阪経済はさらに難しい、そこを難しいといえばいいのに、大阪の問題は二重行政の解消で解決できる、大阪都にすれば毎年4000億円の財源が出ます、いや無限に出ますと言ってしまう橋下市長らの傲慢さ。

 それらは、ありていにいえば、虚構の栄光、縮めると「虚栄」です。

 それこそが、「反戦」さえ口にしなかった水木しげるさんが最も嫌ったものでしょう。

 だから、控えめに、「慰安婦にバイショウはしたほうがいいと思っている」と90歳になっても書かざるを得なかったのだと思います。

白い旗 (講談社文庫) 水木しげる著 講談社

玉砕か、降伏か、人間の尊厳を問う衝撃の問題作!戦記ドキュメンタリー完全復刻!
「硫黄島は、その名のごとく硫黄の島であった。井戸を掘っても、硫黄臭い海水まじりの湯が出る」。昭和20年2月、米軍に包囲されながらも、日本軍は必死に戦っていたが、押し寄せる物量の前に徐々に攻略されてしまう。やがて弾薬も食料も尽き、決断の時が迫る。玉砕か、降伏か、人間の尊厳を問う衝撃の問題作。

 

水木しげるのラバウル戦記 水木 しげる  (著) 筑摩書房

太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。


敗走記 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語
戦記ドキュメンタリー完全復刻!
昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。


姑娘 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

中国侵略の途上、日本軍のある部隊が山村にいた若い美女・姑娘を発見、捕虜とする。だが姑娘と出会ってしまったことで、分隊長と上等兵の運命は予想もしなかった方向へと向かい出す(表題作)。その他、戦艦大和艦長・有賀幸作の苦悩を描いた「海の男」など4作品を収録。戦争を体験した著者が描く戦争の悲劇。

 


本当に実体験から戦争を書ける人が少なくなっていく。

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第358回水木しげるさんの死〜なぜ「戦争反対とは決して言いません」だったのか。の巻

 11月30日、漫画家の水木しげる氏が亡くなった。
その訃報に触れた時、「ああ、やっぱり会えなかったか…」としみじみ思った。

 本当は、今年の1月、水木氏に取材をすることになっていた。取材内容は、水木氏の戦争体験。マネージャーの方を通して本人の快諾を頂き、日程も決まっていたものの、取材数日前、体調を崩されたとのことで話は流れてしまったのだ。高齢のため、大事をとりたいという旨の丁寧な連絡を頂き、残念だったが、出版の日も決まっていたので「水木氏への取材」は叶わぬ夢となってしまった。その本が、今年7月に出版した『14歳からの戦争のリアル』だ。本書には、実際に戦争を経験した人として、俳人の金子兜太さんと女優の赤木春恵さんにご登場頂いている。

 そんな水木氏の取材を巡るやり取りの中で、私の中に強く印象づけられた言葉がある。それは取材を快諾して頂いた際の、マネージャーさんからのメールの言葉。
高齢のため、長時間の取材は受けられないなどのいくつかのことわりの言葉の後に、こんな文章が続いていた。
「それと水木は『戦争反対』とは決して言いません。
そのために、記事をうまくまとめられない記者さんも過去にはおられました」
ラバウルの激戦地に送られ、左腕を失い、生死の境を彷徨うほどの経験をし、仲間も多く失った氏なのに、なぜ、「戦争反対」とは決して言わないのか。取材が叶った際には、そのことをこそ、聞きたいと思っていた。しかし、もう氏はこの世にいない。永遠に解けない謎だけが、私の中に残された。

 この国の多くの人が「水木漫画」の影響を受けてきたように、私も子どもの頃から彼の漫画のファンだった。のちに「ガロ」系漫画に猛烈にハマったのも、おそらく水木漫画という下地があったからだと思う。
そんな氏の存在が私の中で決定的に変わったのは、ある本を読んでからだ。それは『昭和二十年夏、僕は兵士だった』(梯久美子 角川書店)。戦争を体験した人々にインタビューをしている本書で、水木氏は今から7年前の08年、86歳で取材を受けている。

 氏の体験は、やはり壮絶だ。しかし、本人の語り口はあくまでも飄々としている。寝ることと食べることが最優先のライフスタイルを軍隊でも変えず、毎日遅刻して毎日殴られたこと。交代で不寝番をし、望遠鏡で海上を監視していたら、ついオウムに見とれてしまい、小屋に戻るのが遅れたこと。すると小屋が直撃弾を受けて、分隊は全滅したこと。また、仲間がどんどん「勇ましい戦死」とはほど遠い形で命を失っていったことも語られる。
ある者は生きた魚を喉につまらせて死に、ある者はワニに食べられて死ぬ。それも、何人も。川に落ちた帽子を拾おうとして水に少し手を入れるなどした際に、あっという間に引っ張られるのだ。ワニは上半身だけ食べて下半身は泥の中に埋めておく習性があるそうで、2、3日経つとゲートルをきちんと巻いて靴を履いたままの下半身が流れてくるのだという。そんな描写が続いたかと思うと、現地の集落の人たちと仲良くなり、のんびり暮らす彼らの村に入り浸るようになった上、自分の畑まで作ってもらうというあり得ない展開になる。
戦争が終わった時、水木氏は現地の人々に「ここに残れ」と言われたという。「みんなとトモダチになったし、景色はきれいだし、のんびり暮らせるし。自分に合ったところだと思った」という氏は現地除隊を一時は真剣に考えた。しかし、相談した「軍医殿」にとにかく一度日本に帰るよう説得される。もし、この時、水木氏が現地除隊していたら、『ゲゲゲの鬼太郎』などの名作が生まれることはなかったのだろう。

 そんな氏の不思議な戦争体験を知った私は、彼の戦争体験を綴った漫画を読み漁った。『総員玉砕せよ!』『敗走記』、イラストと文章からなる『水木しげるのラバウル戦記』などなど。
「私はなんでこのような、つらいつとめをせにゃならぬ」。慰安婦が歌う「女郎の歌」を、最後の突撃の前に兵隊たちが歌う『総員玉砕せよ!』。印象的なシーンはたくさんあるが、もっとも強烈に覚えているのは、敵に撃たれて負傷し、倒れた仲間の指を切るシーンだ。
まだ生きているというのに、「遺骨を作るんだ」と上官に言われ、スコップの先で小指を切り落とす。土砂降りの雨の中、指を切られた兵隊は去っていく仲間の気配を感じ、「おめえたちゃあ行っちまうんか」と呟く。
『水木しげるのラバウル戦記』には、氏が左腕を失った際の描写もある。寝ている時に敵機のマークが上空に見え、穴に避難しようとするものの間に合わない。そこに爆弾が落ち、左手に走った鈍痛。バケツ一杯あまりの出血をし、翌日、「七徳ナイフみたいなもの」で軍医が腕を切断。「モーローとしていて、痛くなかった」という。が、その後、マラリアが再発。以下、『水木しげるのラバウル戦記』からの引用だ。

 一日中寝ているしかなく、ぼんやりと考えごとばかりして暮らしていた。文明なんてなんだ、いじめられ、そして、何かあると天皇の命令だから死ねとくる。また、忙しいばかりで何もない。それにくらべて土人(著者注 現地人のこと)の生活は何とすばらしいものだろう。即ち、日本人には味わえないゆったりとした心があるのだ。
いぜんとして乾パンもめしものどを通らず、熱も下がらないまま、ある夜、注射が突然こわくなり、じっとしていられなくなって軍医のところへ行こうとヨロヨロ歩きだした。
あとでわかったことだが、少し狂ってきていたのだ。意識もあまりはっきりしていず、気がついた時は、豪雨で川みたいになった道をヨロヨロと歩いていた。熱い体に冷たい雨が、なんとなく心地よい。あたりは真っ暗。
そのうちジャングルの中に入り、前にもうしろにも行けなくなった。動こうと思っても、指と首ぐらいしか動かない。「ああ、俺はこんなところで死ぬのか」と思ったまま、意識がなくなった。
ガヤガヤという声がして、二、三人の戦友と軍医さんに手足を持って壕の中へ運ばれ、リンゲルという注射を打たれた。
病気は一進一退で、寝たままだった。外では玉砕の歌が歌われ、死の気分が漂っている。いま生きたとしても、どうせ敵が上がってきて一年後には死ぬだろうというのが、そのころの兵隊の気持だった。前線は、はるか先の沖縄あたりになっているのだ。
ジャングルに埋もれた、左手のない遺骨。一年後の自分の姿を想像したり、頭も少しおかしかったとみえて、軍医さんをなぐったりしたのもこのころだ。

 水木氏のこういった描写や漫画を読んでいると、「ああ、こんなふうに死んでいったんだろうな」という無数の死者の無念がひしひしと伝わってくる。東部ニューギニアだけでも、日本兵の死者は12万人を超えるという。

 この原稿を書くにあたり、水木氏の戦争漫画などを改めて読み返して、氏が「戦争反対」という言葉を決して言わない理由が、なんとなくだけど、わかった気がした。「戦争反対」という、ある意味でありきたりな言葉では、とても言い尽くせない思いがあったのではないだろうか。たった四文字の漢字になどとても託せないほどの、経験していない者には決してわからない気持ちが、氏にその言葉を吐かせなかったのではないだろうか。

 水木氏のインタビューをした梯氏は、『昭和二十年夏、僕は兵士だった』で以下のように書いている。

 インタビューの中で、水木氏は一度も、いわゆる正論を吐かなかった。あくまでも”駄目な二等兵”の視点から戦争を語り、見出しになるような決め台詞や恰好いい言葉はひとつも出てこない。
おそらく氏は「美学」が嫌いなのだ。食べて、排泄して、寝る――戦記マンガの中で繰り返しそのことを描いたのも、戦場における「美学」の対抗軸としてではないだろうか。美学に酔って、人間を軽んじた軍人たちへの痛烈な批判がそこにはある。

 そんな水木氏は、『総員玉砕せよ!』のあとがきで、以下のように書いている。

 ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りが込み上げてきて仕方がない。多分戦死者の霊がそうさせるのではないかと思う。

 戦死者たちの霊に突き動かされるようにして「戦争」を描いた漫画家が、戦後70年の冬、93年の生涯を終えた。
水木氏の戦争漫画は、妖怪漫画とともに、長く読みつがれていくだろう。
ああ、でも、一度お会いしたかった!

 

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反戦漫画を描きながら「反戦」を言わない水木しげるさんと、「美しい国」を唱える人たちの違い。

2015-12-10 10:54 Everyone says I love you !

 

コミック昭和史 1~最新巻(文庫版)(講談社文庫) [マーケットプレイス コミックセット] 水木しげる著 講談社

中国人民のねばりづよい抵抗にあい、日中戦争は膠着状態におちいった。撤退もままならぬ中で、日本の軍部は太平洋に眼をむけた。石油資源を確保するためである。大東亜共栄圏の美名のもとに作戦が練られる。開戦を避ける日米交渉も決裂。昭和16年12月8日、真珠湾に奇襲をかけ、ついに太平洋戦争へ突入。

 

 

 さきほど、マガジン9条に載った雨宮処凜さんの記事

第358回水木しげるさんの死〜なぜ「戦争反対とは決して言いません」だったのか。の巻

を読んで、なぜ、私が安倍首相や橋下市長の政治のやり方に反対するのか、思うところがありました。

 水木さんの死を悼んで、水木さんの8ページの漫画「従軍慰安婦」をご紹介させていただいた記事は、おかげさまでうちの小さな記事の100本分くらいのアクセスを集めました。

追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著) 小学館

より。

 

 

 この漫画を読んでいたいただいたり、この記事に載せた多くの反戦漫画を読んでいただいたらお分かりになるように、水木しげるさんは、決して反戦漫画を描かなかったわけではありません。

 それどころか、日本で最も反戦漫画を描いた漫画家の一人だといえるでしょう。

 しかし、その水木さんが、インタビューなどで反戦を声高に唱えなかったことについて、雨宮さんはありきたりのようですが

『氏が「戦争反対」という言葉を決して言わない理由が、なんとなくだけど、わかった気がした。

 「戦争反対」という、ある意味でありきたりな言葉では、とても言い尽くせない思いがあったのではないだろうか。

 たった四文字の漢字になどとても託せないほどの、経験していない者には決してわからない気持ちが、氏にその言葉を吐かせなかったのではないだろうか。』

と書いておられます。

 それが証拠に、水木さんは

《『総員玉砕せよ!』のあとがきで、以下のように書いている。

ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りが込み上げてきて仕方がない。多分戦死者の霊がそうさせるのではないかと思う。》

と。

総員玉砕せよ! (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。

 

 

 ここが、百田直樹氏が特攻隊員を描いた「永遠のゼロ」などとの決定的な違いなのでしょう。

 百田直樹氏の作品は、むしろ唱えているんです。

 しかし、特攻隊員の死を美化してしまっている。

 宮崎駿氏がそれを、「またばかなことを書いている奴がいる」と激怒していましたが、戦争で死んだ人を「尊崇する」と称して美化することは、馬鹿にすることに近いのです。

 安倍首相の戦後レジームを破壊して「美しい国を取り戻す」も同様です。

 戦前だって人間の営みがあったのですから、もちろん何もかも真っ黒だったわけじゃない。

 しかし、日本の植民地支配や侵略をありのままに学ぶのは自虐史観だとして、「慰安婦」はただの売春婦だ、南京大虐殺はなかったなどと歴史を捻じ曲げてしまったら、それは戦争で死んでいったすべての人を馬鹿にし、踏みにじることになるのです。

野坂昭如氏は、昭和42年に発表した「火垂るの墓」を含む二作品で翌43年直木賞を受賞。

アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫) 野坂昭如 著 新潮社

奇しくも、本日亡くなられた野坂昭如氏が原作を描かれた火垂るの墓を映画化した高畑勲監督(宮崎駿監督の盟友)も、この映画は反戦の役には立たないのではないかと書かれた。

絶対ハズレなし 超お勧め映画! 火垂るの墓 「4歳と14歳で生きようと思った・・・」

 

 

 しかし、私がアベ政治や橋下維新の政治を思い出したのはそこではありません。

 今の日本経済、だれが首相として担当しても難しいのはわかるのです。

 だって、財政赤字でお金がないのに、少子高齢化の中、福祉を実現しないといけない。非常に困難です。

 そんな時に、

「そうだ、日銀がお札をどんどん刷ればいい」

などという「解決策」を持ち出すことが、どれだけ罪深いことか。

 また、大阪経済はさらに難しい、そこを難しいといえばいいのに、大阪の問題は二重行政の解消で解決できる、大阪都にすれば毎年4000億円の財源が出ます、いや無限に出ますと言ってしまう橋下市長らの傲慢さ。

 それらは、ありていにいえば、虚構の栄光、縮めると「虚栄」です。

 それこそが、「反戦」さえ口にしなかった水木しげるさんが最も嫌ったものでしょう。

 だから、控えめに、「慰安婦にバイショウはしたほうがいいと思っている」と90歳になっても書かざるを得なかったのだと思います。

白い旗 (講談社文庫) 水木しげる著 講談社

玉砕か、降伏か、人間の尊厳を問う衝撃の問題作!戦記ドキュメンタリー完全復刻!
「硫黄島は、その名のごとく硫黄の島であった。井戸を掘っても、硫黄臭い海水まじりの湯が出る」。昭和20年2月、米軍に包囲されながらも、日本軍は必死に戦っていたが、押し寄せる物量の前に徐々に攻略されてしまう。やがて弾薬も食料も尽き、決断の時が迫る。玉砕か、降伏か、人間の尊厳を問う衝撃の問題作。

 

水木しげるのラバウル戦記 水木 しげる  (著) 筑摩書房

太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。


敗走記 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語
戦記ドキュメンタリー完全復刻!
昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。


姑娘 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

中国侵略の途上、日本軍のある部隊が山村にいた若い美女・姑娘を発見、捕虜とする。だが姑娘と出会ってしまったことで、分隊長と上等兵の運命は予想もしなかった方向へと向かい出す(表題作)。その他、戦艦大和艦長・有賀幸作の苦悩を描いた「海の男」など4作品を収録。戦争を体験した著者が描く戦争の悲劇。

 


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第358回水木しげるさんの死〜なぜ「戦争反対とは決して言いません」だったのか。の巻

 11月30日、漫画家の水木しげる氏が亡くなった。
その訃報に触れた時、「ああ、やっぱり会えなかったか…」としみじみ思った。

 本当は、今年の1月、水木氏に取材をすることになっていた。取材内容は、水木氏の戦争体験。マネージャーの方を通して本人の快諾を頂き、日程も決まっていたものの、取材数日前、体調を崩されたとのことで話は流れてしまったのだ。高齢のため、大事をとりたいという旨の丁寧な連絡を頂き、残念だったが、出版の日も決まっていたので「水木氏への取材」は叶わぬ夢となってしまった。その本が、今年7月に出版した『14歳からの戦争のリアル』だ。本書には、実際に戦争を経験した人として、俳人の金子兜太さんと女優の赤木春恵さんにご登場頂いている。

 そんな水木氏の取材を巡るやり取りの中で、私の中に強く印象づけられた言葉がある。それは取材を快諾して頂いた際の、マネージャーさんからのメールの言葉。
高齢のため、長時間の取材は受けられないなどのいくつかのことわりの言葉の後に、こんな文章が続いていた。
「それと水木は『戦争反対』とは決して言いません。
そのために、記事をうまくまとめられない記者さんも過去にはおられました」
ラバウルの激戦地に送られ、左腕を失い、生死の境を彷徨うほどの経験をし、仲間も多く失った氏なのに、なぜ、「戦争反対」とは決して言わないのか。取材が叶った際には、そのことをこそ、聞きたいと思っていた。しかし、もう氏はこの世にいない。永遠に解けない謎だけが、私の中に残された。

 この国の多くの人が「水木漫画」の影響を受けてきたように、私も子どもの頃から彼の漫画のファンだった。のちに「ガロ」系漫画に猛烈にハマったのも、おそらく水木漫画という下地があったからだと思う。
そんな氏の存在が私の中で決定的に変わったのは、ある本を読んでからだ。それは『昭和二十年夏、僕は兵士だった』(梯久美子 角川書店)。戦争を体験した人々にインタビューをしている本書で、水木氏は今から7年前の08年、86歳で取材を受けている。

 氏の体験は、やはり壮絶だ。しかし、本人の語り口はあくまでも飄々としている。寝ることと食べることが最優先のライフスタイルを軍隊でも変えず、毎日遅刻して毎日殴られたこと。交代で不寝番をし、望遠鏡で海上を監視していたら、ついオウムに見とれてしまい、小屋に戻るのが遅れたこと。すると小屋が直撃弾を受けて、分隊は全滅したこと。また、仲間がどんどん「勇ましい戦死」とはほど遠い形で命を失っていったことも語られる。
ある者は生きた魚を喉につまらせて死に、ある者はワニに食べられて死ぬ。それも、何人も。川に落ちた帽子を拾おうとして水に少し手を入れるなどした際に、あっという間に引っ張られるのだ。ワニは上半身だけ食べて下半身は泥の中に埋めておく習性があるそうで、2、3日経つとゲートルをきちんと巻いて靴を履いたままの下半身が流れてくるのだという。そんな描写が続いたかと思うと、現地の集落の人たちと仲良くなり、のんびり暮らす彼らの村に入り浸るようになった上、自分の畑まで作ってもらうというあり得ない展開になる。
戦争が終わった時、水木氏は現地の人々に「ここに残れ」と言われたという。「みんなとトモダチになったし、景色はきれいだし、のんびり暮らせるし。自分に合ったところだと思った」という氏は現地除隊を一時は真剣に考えた。しかし、相談した「軍医殿」にとにかく一度日本に帰るよう説得される。もし、この時、水木氏が現地除隊していたら、『ゲゲゲの鬼太郎』などの名作が生まれることはなかったのだろう。

 そんな氏の不思議な戦争体験を知った私は、彼の戦争体験を綴った漫画を読み漁った。『総員玉砕せよ!』『敗走記』、イラストと文章からなる『水木しげるのラバウル戦記』などなど。
「私はなんでこのような、つらいつとめをせにゃならぬ」。慰安婦が歌う「女郎の歌」を、最後の突撃の前に兵隊たちが歌う『総員玉砕せよ!』。印象的なシーンはたくさんあるが、もっとも強烈に覚えているのは、敵に撃たれて負傷し、倒れた仲間の指を切るシーンだ。
まだ生きているというのに、「遺骨を作るんだ」と上官に言われ、スコップの先で小指を切り落とす。土砂降りの雨の中、指を切られた兵隊は去っていく仲間の気配を感じ、「おめえたちゃあ行っちまうんか」と呟く。
『水木しげるのラバウル戦記』には、氏が左腕を失った際の描写もある。寝ている時に敵機のマークが上空に見え、穴に避難しようとするものの間に合わない。そこに爆弾が落ち、左手に走った鈍痛。バケツ一杯あまりの出血をし、翌日、「七徳ナイフみたいなもの」で軍医が腕を切断。「モーローとしていて、痛くなかった」という。が、その後、マラリアが再発。以下、『水木しげるのラバウル戦記』からの引用だ。

 一日中寝ているしかなく、ぼんやりと考えごとばかりして暮らしていた。文明なんてなんだ、いじめられ、そして、何かあると天皇の命令だから死ねとくる。また、忙しいばかりで何もない。それにくらべて土人(著者注 現地人のこと)の生活は何とすばらしいものだろう。即ち、日本人には味わえないゆったりとした心があるのだ。
いぜんとして乾パンもめしものどを通らず、熱も下がらないまま、ある夜、注射が突然こわくなり、じっとしていられなくなって軍医のところへ行こうとヨロヨロ歩きだした。
あとでわかったことだが、少し狂ってきていたのだ。意識もあまりはっきりしていず、気がついた時は、豪雨で川みたいになった道をヨロヨロと歩いていた。熱い体に冷たい雨が、なんとなく心地よい。あたりは真っ暗。
そのうちジャングルの中に入り、前にもうしろにも行けなくなった。動こうと思っても、指と首ぐらいしか動かない。「ああ、俺はこんなところで死ぬのか」と思ったまま、意識がなくなった。
ガヤガヤという声がして、二、三人の戦友と軍医さんに手足を持って壕の中へ運ばれ、リンゲルという注射を打たれた。
病気は一進一退で、寝たままだった。外では玉砕の歌が歌われ、死の気分が漂っている。いま生きたとしても、どうせ敵が上がってきて一年後には死ぬだろうというのが、そのころの兵隊の気持だった。前線は、はるか先の沖縄あたりになっているのだ。
ジャングルに埋もれた、左手のない遺骨。一年後の自分の姿を想像したり、頭も少しおかしかったとみえて、軍医さんをなぐったりしたのもこのころだ。

 水木氏のこういった描写や漫画を読んでいると、「ああ、こんなふうに死んでいったんだろうな」という無数の死者の無念がひしひしと伝わってくる。東部ニューギニアだけでも、日本兵の死者は12万人を超えるという。

 この原稿を書くにあたり、水木氏の戦争漫画などを改めて読み返して、氏が「戦争反対」という言葉を決して言わない理由が、なんとなくだけど、わかった気がした。「戦争反対」という、ある意味でありきたりな言葉では、とても言い尽くせない思いがあったのではないだろうか。たった四文字の漢字になどとても託せないほどの、経験していない者には決してわからない気持ちが、氏にその言葉を吐かせなかったのではないだろうか。

 水木氏のインタビューをした梯氏は、『昭和二十年夏、僕は兵士だった』で以下のように書いている。

 インタビューの中で、水木氏は一度も、いわゆる正論を吐かなかった。あくまでも”駄目な二等兵”の視点から戦争を語り、見出しになるような決め台詞や恰好いい言葉はひとつも出てこない。
おそらく氏は「美学」が嫌いなのだ。食べて、排泄して、寝る――戦記マンガの中で繰り返しそのことを描いたのも、戦場における「美学」の対抗軸としてではないだろうか。美学に酔って、人間を軽んじた軍人たちへの痛烈な批判がそこにはある。

 そんな水木氏は、『総員玉砕せよ!』のあとがきで、以下のように書いている。

 ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りが込み上げてきて仕方がない。多分戦死者の霊がそうさせるのではないかと思う。

 戦死者たちの霊に突き動かされるようにして「戦争」を描いた漫画家が、戦後70年の冬、93年の生涯を終えた。
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追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

2015-11-30 11:40 Everyone says I love you !

 

 

 

 

 

 

 

カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著) 小学館

より。

 

 

総員玉砕せよ! (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。


水木しげるのラバウル戦記 水木 しげる  (著) 筑摩書房

太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。


敗走記 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語
戦記ドキュメンタリー完全復刻!
昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。


姑娘 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

中国侵略の途上、日本軍のある部隊が山村にいた若い美女・姑娘を発見、捕虜とする。だが姑娘と出会ってしまったことで、分隊長と上等兵の運命は予想もしなかった方向へと向かい出す(表題作)。その他、戦艦大和艦長・有賀幸作の苦悩を描いた「海の男」など4作品を収録。戦争を体験した著者が描く戦争の悲劇。



巨星、水木しげる逝く。

物心ついた時から水木先生の「ゲゲゲの鬼太郎」があり、「悪魔くん」があり。

5年前、大病で苦しんでいた時、朝のテレビ連続ドラマ「ゲゲゲの女房」にどんなに癒されたことか。

もう、自身の戦争体験から漫画を描いてくださる方はいなくなりました。

心からご冥福をお祈り申し上げます。

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追悼! 水木しげるが描いていたラバウルの戦争体験と慰安婦…「80人の兵隊を相手に…あれはやっぱり地獄だ」 【この記事のキーワード】宮島みつや, 慰安婦, 歴史観, 漫画家 2015.11.30 mizukishigeru_01_151130.jpg 水木プロダクション公式サイト「げげげ通信」より


『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるが、今朝、多臓器不全のため都内の病院で亡くなった。93歳だった。

 1922(大正11)年生まれの水木は、1942年、20歳の秋、兵庫・西宮で徴兵検査を受け、近眼のため乙種合格となった。今年5月に、水木が出征前に記した手記が発見され、文芸誌「新潮」(新潮社)に掲載、話題になったことは記憶に新しい。手記は断片的ではあるが、哲学・芸術に想いをめぐらせた思索的なものだった。そして、その後戦地を目前としての死生観が記されていた。

〈毎日五萬も十萬も戦死する時代だ。芸術が何んだ哲学が何んだ。今は考へる事すらゆるされない時代だ。
画家だらうと哲学者だらうと文学者だらうと労働者だらうと、土色一色にぬられて死場へ送られる時代だ。
人を一塊の土くれにする時代だ。
こんなところで自己にとどまるのは死よりつらい。だから、一切を捨てゝ時代になつてしまふ事だ。
暴力だ権力だ。そして死んでしまふ事だ。
それが一番安心の出来る生き方だ。〉(「新潮」15年8月号より)

 翌年1943年4月、水木のもとに、臨時の招集令状が届く。補充兵となり、激戦地ラバウル(ニューブリテン島)へ出征。爆撃によって左手を失った。戦後、漫画家となった水木は、自らの戦争体験を元にした作品を多数発表してきた。なかでももっとも有名なのが、自伝的戦記マンガ『総員玉砕せよ!』だろう。水木が「90%は戦地で自分が見聞きしたこと」であり「最も愛着が深い作品」だという同作は、こんな場面から始まる──。

 ニューブリテン島のココポという船着場で、日本軍の兵士たちが「ピー屋」、つまり慰安所の前で長蛇の列をなしている。「一人三十秒だぞ」と言う兵士。対し、慰安所の女性は「皆さんもう五時ですからおしまいですよ」と言う。兵士たちは「そんなこというなよ御国のためだ」「もう少し営業しろい」と食い下がるが、慰安婦はため息をつきながら「もう体がもたないわ……」。しかし、兵士は懇願する。

「ねえちゃんあと七十人くらいだがまんしてけれ」

 同作は、最終盤に兵士たちが敵隊に突入し、全員が玉砕するのだが、最後の数ページはひとつのセリフもなく、倒れ重なる死体のカットが繰り返されるだけ。死体はやがて白骨となり、まるでゴミかなにかのように積もっていく。その静寂のなかで幕を降ろす。

圧倒的な不条理。そこには、昨今の戦争をモチーフにした小説や映画、漫画、アニメに見られるような、ヒロイズムや勇猛果敢さ、あるいは“民族の誇り”なるものは、いっさいない。

 2006年、水木は毎日新聞の取材を受けた際、「復員後、戦争を賛美するような戦記物漫画に反発を覚えたことがあると聞きました」と尋ねた記者に対して、このように答えている(8月16日付大阪朝刊)。

「戦争に行っていない人が描いている、と思った。戦争は映画みたいに都合良くいかない。それからずっとたって、『コミック昭和史』や『総員玉砕せよ!』を描いたのは、戦争を体験した漫画家として、残さなければならない仕事だと思ったからだ。心ならずも亡くなった人たちの無念。敗戦は滅亡だった。食に困らず、豊かさを味わえる現代は天国のようだ。戦争をすべきでない」

 一方、同年の読売新聞でのインタビューでは、「今の日本の現状をどのように見られますか」と聞かれ、こう語っている(06年4月30日付朝刊)。

「これでいいんじゃないですか。締め付けめいたことや忠告めいたことを言ってもダメですよ。自然のままでいい。方向を決めても大したことはない。戦争中は聖なる目的で命がけでばく進したけど、このざまです。あんなに努力して、金をかけ、命まで投げ出して負け、幸せにはなれなかった。あれほどばかばかしいことはない。みな口には出さないけれど、戦争のばかばかしさは今も日本国民に染みついていますよ」

 ところが、2015年、安倍政権下の日本を見ていると、どうにも、この国はまたしても戦争へ向かっているような気がしてならない。それは、為政者が「未来志向」の名の下、戦争の“負の遺産”を消し去ろうとしていて、しかも、人々の心の中にまでその空気が広がりつつあるからだ。たとえば先日も、自民党で歴史認識問題に取り組む「国際情報検討委員会」の原田義昭委員長が、「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている」と発言した。いま、安倍政権は明らかに歴史の修正に舵を切っている。

 しかし、水木が『総員玉砕せよ!』で描いているような場面は、決してフィクションではない。慰安婦は事実存在しただけでなく、彼女たちが強いられた行為は、まさに非道としかいいようのないものだった。水木は別のコミックエッセイで、ココポでの慰安婦をより詳細に描いている。『カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る』(小学館)に収められている、8ページの短いマンガ。タイトルは「従軍慰安婦」だ。

年老いた水木が、書斎で戦争中、ココポでの出来事を回想する。水木青年は、上等兵に「お前も行ってこい」と言われる。以下、水木のモノローグ。

〈というようなことでピー屋の前に行ったがなんとゾロゾロと大勢並んでいる。
日本のピー屋の前には百人くらい、ナワピー(沖縄出身)は九十人くらい、朝鮮ピーは八十人くらいだった。
これを一人の女性で処理するのだ。
僕はその長い行列をみて一体いつ、できるのだろうと思った。
一人三十分とみてもとても今日中にできるとは思われない、軽く一週間くらい、かかるはずだ。
しかし兵隊はこの世の最期だろうと思ってはなれない、しかし……
いくらねばっても無駄なことだ。
僕は列から離れることにした。
そして朝鮮ピーの家を観察したのだ。
ちょうどそのとき朝鮮ピーはトイレがしたくなったのだろう、小屋から出てきた。〉

 朝鮮人慰安婦が便所で用を足すところを見て、水木は「はァ」と目を見開く。そして、頭を抱える。以下、再びモノローグ。

〈とてもこの世の事とは思えなかった。
第一これから八十くらいの兵隊をさばかねばならぬ。
兵隊は精力ゼツリンだから大変なことだ。
それはまさに“地獄の場所”だった。〉

 場面はかわって、現代。書斎の椅子で目をつむる老いた水木は、〈兵隊だって地獄に行くわけだが、それ以上に地獄ではないか〉と物思いにふけている。

〈よく従軍慰安婦のバイショウのことが新聞に出たりしているが、あれは体験のない人にはわからないだろうが……
やはり“地獄”だったと思う。
だからバイショウは、すべきだろうナ。
……といつも思っている。〉

水木しげるは、決して「平和」や「護憲」を大声で叫ぶようなタイプではなかった。だが、多くの子どもたちからも愛される国民的作家であった一方で、こうした戦場の悲惨な現実を、もくもくと漫画で表現してきた作家でもあった。

 水木はこの夏の安保法制の強行を見て、何を思ったのだろう。広がる歴史修正のイヤな空気を吸いながら、どう感じていたのだろう。もっともっと生きて、その記憶と思いを伝えてほしかった。その死を惜しみつつ、掌を合わせたい。
(宮島みつや)

 

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追悼 戦争で片腕を失った水木しげる先生が描いた「従軍慰安婦」。

2015-11-30 11:40 Everyone says I love you !

 

 

 

 

 

 

 

カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 水木 しげる  (著) 小学館

より。

 

 

総員玉砕せよ! (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。


水木しげるのラバウル戦記 水木 しげる  (著) 筑摩書房

太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。


敗走記 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語
戦記ドキュメンタリー完全復刻!
昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。


姑娘 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

中国侵略の途上、日本軍のある部隊が山村にいた若い美女・姑娘を発見、捕虜とする。だが姑娘と出会ってしまったことで、分隊長と上等兵の運命は予想もしなかった方向へと向かい出す(表題作)。その他、戦艦大和艦長・有賀幸作の苦悩を描いた「海の男」など4作品を収録。戦争を体験した著者が描く戦争の悲劇。



巨星、水木しげる逝く。

物心ついた時から水木先生の「ゲゲゲの鬼太郎」があり、「悪魔くん」があり。

5年前、大病で苦しんでいた時、朝のテレビ連続ドラマ「ゲゲゲの女房」にどんなに癒されたことか。

もう、自身の戦争体験から漫画を描いてくださる方はいなくなりました。

心からご冥福をお祈り申し上げます。

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追悼! 水木しげるが描いていたラバウルの戦争体験と慰安婦…「80人の兵隊を相手に…あれはやっぱり地獄だ」 【この記事のキーワード】宮島みつや, 慰安婦, 歴史観, 漫画家 2015.11.30 mizukishigeru_01_151130.jpg 水木プロダクション公式サイト「げげげ通信」より


『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるが、今朝、多臓器不全のため都内の病院で亡くなった。93歳だった。

 1922(大正11)年生まれの水木は、1942年、20歳の秋、兵庫・西宮で徴兵検査を受け、近眼のため乙種合格となった。今年5月に、水木が出征前に記した手記が発見され、文芸誌「新潮」(新潮社)に掲載、話題になったことは記憶に新しい。手記は断片的ではあるが、哲学・芸術に想いをめぐらせた思索的なものだった。そして、その後戦地を目前としての死生観が記されていた。

〈毎日五萬も十萬も戦死する時代だ。芸術が何んだ哲学が何んだ。今は考へる事すらゆるされない時代だ。
画家だらうと哲学者だらうと文学者だらうと労働者だらうと、土色一色にぬられて死場へ送られる時代だ。
人を一塊の土くれにする時代だ。
こんなところで自己にとどまるのは死よりつらい。だから、一切を捨てゝ時代になつてしまふ事だ。
暴力だ権力だ。そして死んでしまふ事だ。
それが一番安心の出来る生き方だ。〉(「新潮」15年8月号より)

 翌年1943年4月、水木のもとに、臨時の招集令状が届く。補充兵となり、激戦地ラバウル(ニューブリテン島)へ出征。爆撃によって左手を失った。戦後、漫画家となった水木は、自らの戦争体験を元にした作品を多数発表してきた。なかでももっとも有名なのが、自伝的戦記マンガ『総員玉砕せよ!』だろう。水木が「90%は戦地で自分が見聞きしたこと」であり「最も愛着が深い作品」だという同作は、こんな場面から始まる──。

 ニューブリテン島のココポという船着場で、日本軍の兵士たちが「ピー屋」、つまり慰安所の前で長蛇の列をなしている。「一人三十秒だぞ」と言う兵士。対し、慰安所の女性は「皆さんもう五時ですからおしまいですよ」と言う。兵士たちは「そんなこというなよ御国のためだ」「もう少し営業しろい」と食い下がるが、慰安婦はため息をつきながら「もう体がもたないわ……」。しかし、兵士は懇願する。

「ねえちゃんあと七十人くらいだがまんしてけれ」

 同作は、最終盤に兵士たちが敵隊に突入し、全員が玉砕するのだが、最後の数ページはひとつのセリフもなく、倒れ重なる死体のカットが繰り返されるだけ。死体はやがて白骨となり、まるでゴミかなにかのように積もっていく。その静寂のなかで幕を降ろす。

圧倒的な不条理。そこには、昨今の戦争をモチーフにした小説や映画、漫画、アニメに見られるような、ヒロイズムや勇猛果敢さ、あるいは“民族の誇り”なるものは、いっさいない。

 2006年、水木は毎日新聞の取材を受けた際、「復員後、戦争を賛美するような戦記物漫画に反発を覚えたことがあると聞きました」と尋ねた記者に対して、このように答えている(8月16日付大阪朝刊)。

「戦争に行っていない人が描いている、と思った。戦争は映画みたいに都合良くいかない。それからずっとたって、『コミック昭和史』や『総員玉砕せよ!』を描いたのは、戦争を体験した漫画家として、残さなければならない仕事だと思ったからだ。心ならずも亡くなった人たちの無念。敗戦は滅亡だった。食に困らず、豊かさを味わえる現代は天国のようだ。戦争をすべきでない」

 一方、同年の読売新聞でのインタビューでは、「今の日本の現状をどのように見られますか」と聞かれ、こう語っている(06年4月30日付朝刊)。

「これでいいんじゃないですか。締め付けめいたことや忠告めいたことを言ってもダメですよ。自然のままでいい。方向を決めても大したことはない。戦争中は聖なる目的で命がけでばく進したけど、このざまです。あんなに努力して、金をかけ、命まで投げ出して負け、幸せにはなれなかった。あれほどばかばかしいことはない。みな口には出さないけれど、戦争のばかばかしさは今も日本国民に染みついていますよ」

 ところが、2015年、安倍政権下の日本を見ていると、どうにも、この国はまたしても戦争へ向かっているような気がしてならない。それは、為政者が「未来志向」の名の下、戦争の“負の遺産”を消し去ろうとしていて、しかも、人々の心の中にまでその空気が広がりつつあるからだ。たとえば先日も、自民党で歴史認識問題に取り組む「国際情報検討委員会」の原田義昭委員長が、「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている」と発言した。いま、安倍政権は明らかに歴史の修正に舵を切っている。

 しかし、水木が『総員玉砕せよ!』で描いているような場面は、決してフィクションではない。慰安婦は事実存在しただけでなく、彼女たちが強いられた行為は、まさに非道としかいいようのないものだった。水木は別のコミックエッセイで、ココポでの慰安婦をより詳細に描いている。『カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る』(小学館)に収められている、8ページの短いマンガ。タイトルは「従軍慰安婦」だ。

年老いた水木が、書斎で戦争中、ココポでの出来事を回想する。水木青年は、上等兵に「お前も行ってこい」と言われる。以下、水木のモノローグ。

〈というようなことでピー屋の前に行ったがなんとゾロゾロと大勢並んでいる。
日本のピー屋の前には百人くらい、ナワピー(沖縄出身)は九十人くらい、朝鮮ピーは八十人くらいだった。
これを一人の女性で処理するのだ。
僕はその長い行列をみて一体いつ、できるのだろうと思った。
一人三十分とみてもとても今日中にできるとは思われない、軽く一週間くらい、かかるはずだ。
しかし兵隊はこの世の最期だろうと思ってはなれない、しかし……
いくらねばっても無駄なことだ。
僕は列から離れることにした。
そして朝鮮ピーの家を観察したのだ。
ちょうどそのとき朝鮮ピーはトイレがしたくなったのだろう、小屋から出てきた。〉

 朝鮮人慰安婦が便所で用を足すところを見て、水木は「はァ」と目を見開く。そして、頭を抱える。以下、再びモノローグ。

〈とてもこの世の事とは思えなかった。
第一これから八十くらいの兵隊をさばかねばならぬ。
兵隊は精力ゼツリンだから大変なことだ。
それはまさに“地獄の場所”だった。〉

 場面はかわって、現代。書斎の椅子で目をつむる老いた水木は、〈兵隊だって地獄に行くわけだが、それ以上に地獄ではないか〉と物思いにふけている。

〈よく従軍慰安婦のバイショウのことが新聞に出たりしているが、あれは体験のない人にはわからないだろうが……
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だからバイショウは、すべきだろうナ。
……といつも思っている。〉

水木しげるは、決して「平和」や「護憲」を大声で叫ぶようなタイプではなかった。だが、多くの子どもたちからも愛される国民的作家であった一方で、こうした戦場の悲惨な現実を、もくもくと漫画で表現してきた作家でもあった。

 水木はこの夏の安保法制の強行を見て、何を思ったのだろう。広がる歴史修正のイヤな空気を吸いながら、どう感じていたのだろう。もっともっと生きて、その記憶と思いを伝えてほしかった。その死を惜しみつつ、掌を合わせたい。
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総員玉砕せよ! (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。


水木しげるのラバウル戦記 水木 しげる  (著) 筑摩書房

太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。


敗走記 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語
戦記ドキュメンタリー完全復刻!
昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。


姑娘 (講談社文庫) 水木 しげる  (著) 講談社

中国侵略の途上、日本軍のある部隊が山村にいた若い美女・姑娘を発見、捕虜とする。だが姑娘と出会ってしまったことで、分隊長と上等兵の運命は予想もしなかった方向へと向かい出す(表題作)。その他、戦艦大和艦長・有賀幸作の苦悩を描いた「海の男」など4作品を収録。戦争を体験した著者が描く戦争の悲劇。



巨星、水木しげる逝く。

物心ついた時から水木先生の「ゲゲゲの鬼太郎」があり、「悪魔くん」があり。

5年前、大病で苦しんでいた時、朝のテレビ連続ドラマ「ゲゲゲの女房」にどんなに癒されたことか。

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『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるが、今朝、多臓器不全のため都内の病院で亡くなった。93歳だった。

 1922(大正11)年生まれの水木は、1942年、20歳の秋、兵庫・西宮で徴兵検査を受け、近眼のため乙種合格となった。今年5月に、水木が出征前に記した手記が発見され、文芸誌「新潮」(新潮社)に掲載、話題になったことは記憶に新しい。手記は断片的ではあるが、哲学・芸術に想いをめぐらせた思索的なものだった。そして、その後戦地を目前としての死生観が記されていた。

〈毎日五萬も十萬も戦死する時代だ。芸術が何んだ哲学が何んだ。今は考へる事すらゆるされない時代だ。
画家だらうと哲学者だらうと文学者だらうと労働者だらうと、土色一色にぬられて死場へ送られる時代だ。
人を一塊の土くれにする時代だ。
こんなところで自己にとどまるのは死よりつらい。だから、一切を捨てゝ時代になつてしまふ事だ。
暴力だ権力だ。そして死んでしまふ事だ。
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 同作は、最終盤に兵士たちが敵隊に突入し、全員が玉砕するのだが、最後の数ページはひとつのセリフもなく、倒れ重なる死体のカットが繰り返されるだけ。死体はやがて白骨となり、まるでゴミかなにかのように積もっていく。その静寂のなかで幕を降ろす。

圧倒的な不条理。そこには、昨今の戦争をモチーフにした小説や映画、漫画、アニメに見られるような、ヒロイズムや勇猛果敢さ、あるいは“民族の誇り”なるものは、いっさいない。

 2006年、水木は毎日新聞の取材を受けた際、「復員後、戦争を賛美するような戦記物漫画に反発を覚えたことがあると聞きました」と尋ねた記者に対して、このように答えている(8月16日付大阪朝刊)。

「戦争に行っていない人が描いている、と思った。戦争は映画みたいに都合良くいかない。それからずっとたって、『コミック昭和史』や『総員玉砕せよ!』を描いたのは、戦争を体験した漫画家として、残さなければならない仕事だと思ったからだ。心ならずも亡くなった人たちの無念。敗戦は滅亡だった。食に困らず、豊かさを味わえる現代は天国のようだ。戦争をすべきでない」

 一方、同年の読売新聞でのインタビューでは、「今の日本の現状をどのように見られますか」と聞かれ、こう語っている(06年4月30日付朝刊)。

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 しかし、水木が『総員玉砕せよ!』で描いているような場面は、決してフィクションではない。慰安婦は事実存在しただけでなく、彼女たちが強いられた行為は、まさに非道としかいいようのないものだった。水木は別のコミックエッセイで、ココポでの慰安婦をより詳細に描いている。『カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る』(小学館)に収められている、8ページの短いマンガ。タイトルは「従軍慰安婦」だ。

年老いた水木が、書斎で戦争中、ココポでの出来事を回想する。水木青年は、上等兵に「お前も行ってこい」と言われる。以下、水木のモノローグ。

〈というようなことでピー屋の前に行ったがなんとゾロゾロと大勢並んでいる。
日本のピー屋の前には百人くらい、ナワピー(沖縄出身)は九十人くらい、朝鮮ピーは八十人くらいだった。
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水木しげるのラバウル戦記 水木 しげる  (著) 筑摩書房

太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。


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巨星、水木しげる逝く。

物心ついた時から水木先生の「ゲゲゲの鬼太郎」があり、「悪魔くん」があり。

5年前、大病で苦しんでいた時、朝のテレビ連続ドラマ「ゲゲゲの女房」にどんなに癒されたことか。

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追悼! 水木しげるが描いていたラバウルの戦争体験と慰安婦…「80人の兵隊を相手に…あれはやっぱり地獄だ」 【この記事のキーワード】宮島みつや, 慰安婦, 歴史観, 漫画家 2015.11.30 mizukishigeru_01_151130.jpg 水木プロダクション公式サイト「げげげ通信」より


『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるが、今朝、多臓器不全のため都内の病院で亡くなった。93歳だった。

 1922(大正11)年生まれの水木は、1942年、20歳の秋、兵庫・西宮で徴兵検査を受け、近眼のため乙種合格となった。今年5月に、水木が出征前に記した手記が発見され、文芸誌「新潮」(新潮社)に掲載、話題になったことは記憶に新しい。手記は断片的ではあるが、哲学・芸術に想いをめぐらせた思索的なものだった。そして、その後戦地を目前としての死生観が記されていた。

〈毎日五萬も十萬も戦死する時代だ。芸術が何んだ哲学が何んだ。今は考へる事すらゆるされない時代だ。
画家だらうと哲学者だらうと文学者だらうと労働者だらうと、土色一色にぬられて死場へ送られる時代だ。
人を一塊の土くれにする時代だ。
こんなところで自己にとどまるのは死よりつらい。だから、一切を捨てゝ時代になつてしまふ事だ。
暴力だ権力だ。そして死んでしまふ事だ。
それが一番安心の出来る生き方だ。〉(「新潮」15年8月号より)

 翌年1943年4月、水木のもとに、臨時の招集令状が届く。補充兵となり、激戦地ラバウル(ニューブリテン島)へ出征。爆撃によって左手を失った。戦後、漫画家となった水木は、自らの戦争体験を元にした作品を多数発表してきた。なかでももっとも有名なのが、自伝的戦記マンガ『総員玉砕せよ!』だろう。水木が「90%は戦地で自分が見聞きしたこと」であり「最も愛着が深い作品」だという同作は、こんな場面から始まる──。

 ニューブリテン島のココポという船着場で、日本軍の兵士たちが「ピー屋」、つまり慰安所の前で長蛇の列をなしている。「一人三十秒だぞ」と言う兵士。対し、慰安所の女性は「皆さんもう五時ですからおしまいですよ」と言う。兵士たちは「そんなこというなよ御国のためだ」「もう少し営業しろい」と食い下がるが、慰安婦はため息をつきながら「もう体がもたないわ……」。しかし、兵士は懇願する。

「ねえちゃんあと七十人くらいだがまんしてけれ」

 同作は、最終盤に兵士たちが敵隊に突入し、全員が玉砕するのだが、最後の数ページはひとつのセリフもなく、倒れ重なる死体のカットが繰り返されるだけ。死体はやがて白骨となり、まるでゴミかなにかのように積もっていく。その静寂のなかで幕を降ろす。

圧倒的な不条理。そこには、昨今の戦争をモチーフにした小説や映画、漫画、アニメに見られるような、ヒロイズムや勇猛果敢さ、あるいは“民族の誇り”なるものは、いっさいない。

 2006年、水木は毎日新聞の取材を受けた際、「復員後、戦争を賛美するような戦記物漫画に反発を覚えたことがあると聞きました」と尋ねた記者に対して、このように答えている(8月16日付大阪朝刊)。

「戦争に行っていない人が描いている、と思った。戦争は映画みたいに都合良くいかない。それからずっとたって、『コミック昭和史』や『総員玉砕せよ!』を描いたのは、戦争を体験した漫画家として、残さなければならない仕事だと思ったからだ。心ならずも亡くなった人たちの無念。敗戦は滅亡だった。食に困らず、豊かさを味わえる現代は天国のようだ。戦争をすべきでない」

 一方、同年の読売新聞でのインタビューでは、「今の日本の現状をどのように見られますか」と聞かれ、こう語っている(06年4月30日付朝刊)。

「これでいいんじゃないですか。締め付けめいたことや忠告めいたことを言ってもダメですよ。自然のままでいい。方向を決めても大したことはない。戦争中は聖なる目的で命がけでばく進したけど、このざまです。あんなに努力して、金をかけ、命まで投げ出して負け、幸せにはなれなかった。あれほどばかばかしいことはない。みな口には出さないけれど、戦争のばかばかしさは今も日本国民に染みついていますよ」

 ところが、2015年、安倍政権下の日本を見ていると、どうにも、この国はまたしても戦争へ向かっているような気がしてならない。それは、為政者が「未来志向」の名の下、戦争の“負の遺産”を消し去ろうとしていて、しかも、人々の心の中にまでその空気が広がりつつあるからだ。たとえば先日も、自民党で歴史認識問題に取り組む「国際情報検討委員会」の原田義昭委員長が、「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている」と発言した。いま、安倍政権は明らかに歴史の修正に舵を切っている。

 しかし、水木が『総員玉砕せよ!』で描いているような場面は、決してフィクションではない。慰安婦は事実存在しただけでなく、彼女たちが強いられた行為は、まさに非道としかいいようのないものだった。水木は別のコミックエッセイで、ココポでの慰安婦をより詳細に描いている。『カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る』(小学館)に収められている、8ページの短いマンガ。タイトルは「従軍慰安婦」だ。

年老いた水木が、書斎で戦争中、ココポでの出来事を回想する。水木青年は、上等兵に「お前も行ってこい」と言われる。以下、水木のモノローグ。

〈というようなことでピー屋の前に行ったがなんとゾロゾロと大勢並んでいる。
日本のピー屋の前には百人くらい、ナワピー(沖縄出身)は九十人くらい、朝鮮ピーは八十人くらいだった。
これを一人の女性で処理するのだ。
僕はその長い行列をみて一体いつ、できるのだろうと思った。
一人三十分とみてもとても今日中にできるとは思われない、軽く一週間くらい、かかるはずだ。
しかし兵隊はこの世の最期だろうと思ってはなれない、しかし……
いくらねばっても無駄なことだ。
僕は列から離れることにした。
そして朝鮮ピーの家を観察したのだ。
ちょうどそのとき朝鮮ピーはトイレがしたくなったのだろう、小屋から出てきた。〉

 朝鮮人慰安婦が便所で用を足すところを見て、水木は「はァ」と目を見開く。そして、頭を抱える。以下、再びモノローグ。

〈とてもこの世の事とは思えなかった。
第一これから八十くらいの兵隊をさばかねばならぬ。
兵隊は精力ゼツリンだから大変なことだ。
それはまさに“地獄の場所”だった。〉

 場面はかわって、現代。書斎の椅子で目をつむる老いた水木は、〈兵隊だって地獄に行くわけだが、それ以上に地獄ではないか〉と物思いにふけている。

〈よく従軍慰安婦のバイショウのことが新聞に出たりしているが、あれは体験のない人にはわからないだろうが……
やはり“地獄”だったと思う。
だからバイショウは、すべきだろうナ。
……といつも思っている。〉

水木しげるは、決して「平和」や「護憲」を大声で叫ぶようなタイプではなかった。だが、多くの子どもたちからも愛される国民的作家であった一方で、こうした戦場の悲惨な現実を、もくもくと漫画で表現してきた作家でもあった。

 水木はこの夏の安保法制の強行を見て、何を思ったのだろう。広がる歴史修正のイヤな空気を吸いながら、どう感じていたのだろう。もっともっと生きて、その記憶と思いを伝えてほしかった。その死を惜しみつつ、掌を合わせたい。
(宮島みつや)

 

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